ひろば通信 2001−2

◇先月は雪の中でのひろば、そしてまだまだ寒さが続いていますが、日は長くなってきたし、春は確実に近づいているようです。秋に植えた球根たちも土の中から顔をのぞかせ、春の日差しを待ち望んでいます。園芸店に行けばすでに咲きそろった花も並んでおり、つい誘惑に駆られてしまいますが、この寒さに耐えることが次の成長に必要なんだと自分に言い聞かせ冬の枯れた花壇をながめています。
◇今年も小黒三郎さんデザインの組み木のおひなさまを展示しました。組み木に出会って自分の人生が変わったように、ひろばに並んだおもちゃから子どもたちの人生をかえるような出会いがあったらうれしいですね。それぐらいのつもりでおもちゃを選んでみたいものです。
 最近小黒さんは直接子どもたちに組み木制作の授業をするというイベントをくり返されています。デザイン発想のコツ、そして糸のこの扱いを実地に指導して組み木の楽しさを伝授しています。そんな幸せな子どもたちの中にはきっと木の温もりと手づくりの醍醐味が残ることと思います。

◇この季節の話のタイミングとしてはぴったりだと思える「雪の女王」はかなり時間がかかりそうで、仕上がった頃は本当に雪解けが始まっているかもしれません。そのかわり、となりの家の娘さんに赤ちゃんが生まれたので、お祝いの作品をデザインしました。
◇このおとなりさんとは古いつき合いで、幼少の頃は週末にテレビを見せてもらいに家族でおじゃましたり、伊勢湾台風の時はわが家で子ども同士いっしょに寝た覚えがあります。こうした二代も三代も続いているつき合いはこの時代とても貴重かもしれません。
◇先月紹介したペンギンシリーズはクラスの子のリクエストでしたが、注文が難しくイワトビペンギンが崖を登っているところという課題。全く何を言い出すか分からない子どもたちで閉口することがままありますが、こちらも一応意地がありますので、何とか作ってみました。幸い笑顔で受け取ってくれましたので

、ホッ。


 それをヒントにこれから動物たちの生活している姿を構成してみたくなりました。まずはライオンたち。メスたちが集団で子育てをし、オスはひとりそばでウロウロ。「プライド」とよばれる群の姿ですが、狩りも子育てもメスにまかせているオスのプライドはどうなっているんでしょうね。
◇ネフのおもちゃが貯まってきました。木のおもちゃは高いと言われる象徴のような作品群ですが、そのセンスとデザインの良さ、仕上げのていねいさなど、他の追随を許さないそれこそプライドを感じます。その紹介に欠かせない相沢さんの本『好き!』の続編を買いました。『まだ好き・・』
 この2冊を参考にネフコーナーを作ってみました。ぜひご自宅でも遊んで下さい。 
◇今月の新着おもちゃにもネフのパズルを加えました。有名なネフシュピールとジーニアスは箱を手作りしました。後は先月間に合わなかった「ジャンピングカー」やユニークな玉落としが並んでいます。
◇今月岐阜の多治見でイベントがあり、自作のお話おもちゃを貸し出します。24,25日の二日間「まなびフェスティバル」という企画で何と階段の踊り場に飾るそうです。その妙なアイデアがおもしろくてつい賛同してしまいました。例の「三匹のくま」や「オオカミと7匹の子ヤギ」セット、「おおきなかぶ」「おむすびころりん」そして新作の「おやゆびひめ」や「かさじぞう」も岐阜の子どもたちに見てもらおうと思っています。
◇以前、おひなさまも含めて、創作折り紙の紹介を続けていましたが、そのプリントが少し残っています。十部くらいそろえておきましたので、もし折り紙に興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さい。一枚の紙からすべての創造物ができあがるという、吉澤先生との出会いも自分の人生を変えたひとつでした。
◇最近民間から学校長を呼ぶという話が聞かれますが、五味太郎さんはぜひ校長になってほしい人のひとりですね。彼の発想の原点がどこにあるか、定かではありませんが、物事を斜に構えて見ながら、けっこう本質をつくという技を持っている気がします。今度の本『ここまできてそれなりにわかったこと』を読みながら、彼ならどんな学校を作るか、考えただけでもおもしろくなります。その本から
・お勉強と呼ばれるものをすべて取り去ると、学校というところはかなり魅力あふれる場所である、ということ。
・「発想の転換」という発想に凝り固まっちゃうんだよな、ということ。
・宇宙に知的生物はいない、地球にもいない、ということ。etc

◇後一年で学校のカリキュラムが変わり、週五日制になります。すでに新しい総合学習や英語の授業などの試運転は始まっていますが、親御さんのいちばん気がかりは何ですか。文部省のうたい文句は相変わらず「生きる力」だの「豊かな個性」だのと抽象的な提示に終わっており後は現場の発想におまかせというありがたい姿勢ですが、では学力はどうなるのという最難問が棚上げのままです。そのへんのやさしい解説を岡崎勝くんがまとめてくれました。参考にどうぞ。『学校が変わるのウソホント』(風媒社)その本から
・子育ての難しさをひしひしと感じている親はたくさんいます。と同じように難しいと感じている教員もたくさんいます。
 子育ての不備や失敗を、いたずらに他人や弱者に押しつけたり、反対に、親が自己責任として何でも抱え込むのはもうやめた方がいいでしょう。これからは「フツーの親」や市民が、自分の足下から、きちんといまの学校の有り様をつかんで、孤立せずに、子どもと向き合うことが重要です。・・・
◇新しい絵本『ひとりじゃないよ』より
     アムネスティ・インターナショナル日本編
   ちいさいね
   みんなの いのち
   だいじだね

 君は これから生まれてくる場所を選ぶことはできない。それはおしりにくっついているほくろのようなもの。
 だけど これから生きていく場所は 選ぶことができるよ。ていうか、生きるって その場所を見つけだしてゆくことなんだ。

わたしとあなたと、
どっちが幸せで どっちが不幸かなんて わからないけれど、
どんな場所で生まれ、
どんなあなたであろうとも、
わたしはあなたを そっくりそのまま 愛しく思う。 
たぶん それだけで、
この世界はいいのだ、と思う。