ひろば通信 2001−8

◇組み木フェスティバルが始まりました。それを記念して、臨時のひろば通信を発行します。この名古屋に始めて全国の組み木作家の作品が集まります。組み木のパターンは十数年前小黒三郎さんが発表されたものですが、それ以後全国にたくさんの組み木仲間が誕生しました。名古屋でもその同好会があり、すでに十年以上の歴史を持っています。会の名称も小黒さんに銘々してもらい、『組み木を楽しむ会』とまさにその名のとおりの会になっています。今回のフェスティバルもその会が実行委員となり、イベントの運営に当たりました。
 私と組み木の出会いもすでに長い時間を経過していますが、何より糸のこさえあれば、どんなに複雑なデザインでも作ることができてしまう、その作りごたえにひかれています。今は合板を駆使した組み立て作品が多くなりましたが発想の原点の多くは組み木のパターンから出ています。
 このフェティバルでは共通テーマとして「なごや(名古屋・和や)か」作品を提案しましたが、ようやく自分の作品ができあがりました。日本の昔話から選んだ「ねずみの嫁入り」です。名古屋といえば大げさな嫁入り話で有名、そして話もなごやかなので、いつものお話セット風にまとめてみました。そのセットの箱も引き出物のようにしてみました。おまけに鯱も並んでいます。「なごやか」コーナーには各作家の力作苦心作が並んでいますので、とくとご覧下さい。
◇今年の夏はこのフェスティバルに続いて11日からは南図書館で組み木展示会、19日からはつくば市で創作おもちゃフェティバルとまたまた忙しい夏ですが、このイベントづけになる前に思い切って屋久島へ出かけてきました。何年か前に家族で出かけましたが、肝心の縄文杉にはたどり着けずずっと心残りでしたので、こんどこそはとほとんどそれだけの目的の旅行でした。あれから屋久島は世界遺産に登録され、肝心の縄文杉も直接触れることはできなくなっていましたが、あえぎながらたどり着いた老木は本当にやさしく、そびえ立っていました。一日おいてのぼった宮の浦岳も充分過ぎるくらい登山の気分を味わえ、大満足の旅行でした。屋久島の魅力は数ありますが、今回感じたのはほとんど時計も見ず、一日の流れを時の行くままに身を任せた、そんな過ごし方ができたことです。夜は満点の空に流れ星を探し、カメの産卵を待ち、清流の水場でおいしい水をあびるほど飲み、苔むした太い木々に長い時間を感じ、人間の小ささにひたすら謙虚になってしまうそんな印象でした。縄文杉からこの夏を乗り切る「気」をもらってくるつもりでしたが、その気は島全体の空気の中にあったようです。
◇おもちゃと出会い、組み木を作り、自分のオリジナルな作品をデザインしていく、私の一方の仕事の中で、ささやかですが、小さな「おもちゃのひろば」を開いています。絵本と木のおもちゃに囲まれた本当に小さな空間ですが、屋久島で味わったような時間のない、元気がもらえる空気を感じて下されば幸いです。今月は休みをもらい、9月からまた再開しますので、ぜひお出かけ下さい。