ひろば通信2002−11

 ひろば 17日 工房 9日
 ・発行 おもちゃのひろば
 ・TEL&FAX 052-834-1986

◇朝夕職場までの通勤途中には、八重桜の並木道があります。護岸工事で様変わりしてしまった山崎川のソメイヨシノの桜トンネルに変わって、春には濃いピンクの花びら吹雪を楽しみましたが、今はすっかり葉が色づいて、紅葉真っ盛りです。ただ、空気はほとんど真冬。衣替えから一気に冬支度です。地球温暖化はどこへいってしまったのでしょう。
◇この寒さのせいで、昨年成功したシクラメンの夏越しは植えかえがおくれたためか、まだ芽を出してくれません。ただ、ポインセチアは外でわずかに赤くなり、はじめて2年目を迎えます。こんな調子で花の冬支度もままなりませんが、巷では早クリスマスモード。でもひろばは12月の声が聞こえるまで残りの秋をゆっくり楽しみます。
◇ おもちゃのつくり手としてはこの時期に新しいクリスマスや干支の作品を仕上げているはずですが、特に今年は新しいデザインの筆が進みません。いつもなら思いついたらすぐラフスケッチをして、方眼紙に向かうのですが、今年は気かがりなことが多く、なかなか集中して机に向かえません。この切り換えがうまくいけば、もっと作品が増えるはずなのですが。
◇ それでも久しぶりに気に入った作品が出来上がりました。素材はやはり絵本から。ホームページの私のお気に入りコーナーでも紹介してありますが、岩波書店の古いお話シリーズにある「ちいさなおうち」です。取り残されたちいさなおうちがまわりをどんどん開拓され、しまいにはまわりをすっかりビルに囲まれてしまいますが、ようやく新しい持ち主の手で、昔のように空気のきれいな田舎に移ることができるお話です。この絵本、発行年が昭和29年ですので、その息の長さが分かります。作者はバージニア・リー・バートンさんですが、素朴なやわらかいタッチの絵が気に入っています。たしか長い「生命のれきし」を綴った絵本も同じ作者だったと思います。その絵本のタッチが出るように、ほとんど絵本そのままにデザインしてみましたがいかがでしょう。
◇ ひろばの絵本は足かけ25年になります。はじめはその当時のおすすめ絵本を探していましたが、読んであげる娘たちの趣向と自分の好みが固まってくるにつれ、同じ作者の絵本が集まり出しました。その最初は「いわさきちひろ」の絵本。水彩の淡い筆のタッチから、どうしてあんなに豊かな子どもの表情が描けるのだろうと感心してながめていました。でも『戦火のなかのこどもたち』のようにそのタッチはただのやさしさを通り越して、もっと深い心の奥を描けるのだと教えられました。
 上の子が最初に気に入ったのは田島征三の『ふきまんぶく』。主人公の女の子の雰囲気に似ていた彼女はこの絵本に本当に同化していました。その後田島さんの絵本、エッセイがほとんどわが家の棚に並ぶことになります。五才離れている下の娘はそのまま『やぎのしずか』のファンになり、最初にそろったシリーズになりました。(つづく)
◇先月のひろばは新しい方がたくさん見えてまたにぎやかでした。今年は口コミに加えて、手狭な空間にもかかわらずマスコミにもたくさん紹介してしまいましたので、どうなることかと心配をしていましたが、この程度なら許してもらえるでしょうか。思うに本当に木のおもちゃや絵本に引かれそれを探し求める方なら、どこかでこのひろばの情報に出会うみたいです。自分が20数年前訪ね歩いた頃と比べれば情報量は格段の差ですが、もしかしたら、この世界に限ってはその量はあまり変わっていないかもしれません。なぜなら流行やブームとは別世界なのですから。その意味でもこのひろばをきっかけに本当に「いいものさがし」をしてもらえると管理人としては本望です。
◇今月の新着おもちゃは老舗のニキティキから購入したねもといさむさんデザインのおもちゃ「ループマグネット」。彼とは夏にいっしょにテレビに生出演したので、ご覧になった方もいることと思います。アイデアがあふれでてくるといううらやましい方ですが、そのデザインには脱帽です。このひもと磁石という単純なしかけからどんな形が生み出せるか、作者と競ってみてはいかがですか。もうひとつはなかなかもどってこないゲーム「かたつむり」です。すぐ決着がつきますが、意外とハラハラします。
◇一日おもしろ学校ごっこの受け付けが始まりましたが、まだ低学年も高学年も余裕があります。おもしろい授業に飢えているお知り合いの方にぜひご紹介下さい。この学校、塾ではありませんので、決して学力をつける目的はありませんが、言葉や数についても新しい見方ができるはずです。いろんな考え方、いろんな体験の中から自分にあったものを見つける、そんな場面にきっと出会えるはずです。
◇夏に張り切りすぎたせいでしょうか、右腕がいたく今医者通い。まだガタつくには早いと思っていましたが、年は隠せないようです。ただクラスにバトミントン好きな子がいて、毎日相手をせがまれます。しかたないので左手でお相手。学生時代テニスをやっていたおかげでサウスポーもけっこう様になってきました。でも今度は左手が心配です。全国放送出演で浮かれたつけがこれではちょっとさびしいですね。
◇ まもなくハリー・ポッターの2作目が公開されますが、本の方はすでに4冊目が発売されました。しかも上下2巻でボリュームたっぷり。もうすぐ上巻は読み終わりますが、分厚いわりには前より話が軽くなっている気がします。この後話は7冊目まで続くといううわさ。世界中の読者がこうやってつきあっているのですから、作者がお城に住んでいるというのもうなづけます。
◇しばらく映画から遠ざかっていましたが、久しぶりに「ロード・トゥ・パーディション」を見ました。マフィアつながりの父と父の仕事を知ってしまった息子との逃避行兼敵討ちのストーリー。親子の絆が何者にも勝るという主題で大いに泣けるはずが、隣で潤んでいるつれあいを尻目に、どこかでしらけてしまった自分の感性に少々ショックを受けました。
 その前に見た邦画「阿弥陀堂だより」はとても余韻の残る絵でした。まるでいい写真集をめくっているような美しい景色の連続。それを見るだけでも価値がありますが、その景色にとけ込むような人物たちの生き様が自然で、運命に身を任せながらも、人のつながりを確かな支えにしている絆に感銘を受けました。
◇来月はいよいよクリスマス。昨年アドベントカレンダーを用意してクリスマスの日まで毎日窓をあけていましたが、これはひとりで楽しむには少しさびしすぎました。宗教の基盤のないわが家としてはサンタの夢だけでも継続したいと思っています。で、サンタの夢ってなに?

  ◆12月の予定

         ひろば 15日  工房 7日