ひろば通信2003−3

 ひろば 16日 工房 8日
 ・発行 おもちゃのひろば   
 ・TEL&FAX 052-834-1986

◇予報によると、今年の桜の開花はいつもより早いと言いますが、まだ春らしい陽気は少ないですね。それでももうすぐ春休み。学校などの関係ではこの時期、年度の区切りということでいろいろ片づけたり、整理したりすることが多いのですが、私の職場では日々の子どもたちとのやりとりでほとんどのエネルギーを使い果たしているので、子どもたちが帰るとグッタリ。机上の整理もままならないまま、明日の準備をするだけで精いっぱい。そんなことのくり返しで日々を送っています。そして、気がつけばもう3月。
 何とかもう少しゆとりがほしいのですが、他の類似の施設の話を聞いてもやはり職員が疲労しきっているといいます。何がそう疲れさせるのか、自分でもよく分かりません。そろそろ仕事のリズムに慣れていいはずなのですが、なかなかしっくりときません。子どもたちのことをよくつかみきっていないこともあります。たまにこちらの予想を遥かに越えたことをすることもあります。かと思えば、べったり甘えてきて、かわいらしいしぐさをすることもあります。ひとりひとりとじっくり向き合えば、それなりに勉強も進むし、子どもの思いも聞いて上げることもできます。
 でも、ほとんどの時間は何人もの子がいっせい声を上げるので、聖徳太子並の力が必要になります。少し放っておくと、無視したとすねだすし、しまいにはどこかを蹴飛ばしていますから、油断なりません。子どもたちを公平に扱いたいと思っても、結局声の大きい子、力の強い子たちが幅をきかせてしまいます。
 どの子も大人に振り向いてほしいのですが、大人とじっくり相手をもらったことの少ない子が多く、人との関係の取り方がとても未熟です。大人との関係ができていないのですから、子ども同士の関係もへたです。そのためトラブルが耐えません。その後始末で一日が暮れるといってもいいでしょう。
 そんな毎日を送りながら、何とか落ち着きを見せてくれると、外へ巣立っていきます。その子たちを見送った後にはいつも何か空しさみたいなものが残ります。充実感はありません。では、ここの仕事の意味は何でしょう。
 たぶん、大人のひとりとして、子どものそばにいてやり、言葉を交わし、話を聞いて上げるそのひとり、ただそのことのためにだけあるようです。親でもなく教師でもなく、ただの大人として。そんな割り切り方でここの仕事を続けています。
◇今回はつい職場のくすのき学園のことに触れてしまいましたが、親子関係が子どもの育ちにいかに大きく影響するか、学園の子どもたちを見ながら痛切に思います。子どもは天使ではありません。人間として生きるために生まれてきます。人としてひとり立ちするまで、親の仕事は終わりません。その辺はむしろ野生動物たちの方が極めて冷静に実践しているのかもしれません。それをいい加減したら種全体が滅びてしまうのですから。
◇ 久しぶりに和久洋三さんの講演を聴きました。還暦を過ぎても、なお情熱的に子どもらの表現形成に尽力されています。自らの創作玩具を「童具」と名づけ、積み木をベースにシンプルな中にも子どもの感性に根ざしたおもちゃを提供されています。ひろばにもそろえてありますが、手に取るとその奥深さを感じることができます。そして作品以上に親として大人として子どもたちに関わる姿勢のアドバイスがこたえます。子どもの遊びは自由さがあってはじめて成り立つこと。子どもにはいつも本物を意識して与えること。やらせはだめ。共感を大事に。夢中になっているときこそ大事。最後には人と人、人と自然、大地とのつながりが分かる子どもに育てたい・・・
 おもちゃの作家としても、子どもとの接し方にしてもよき先輩です。この夏の創作おもちゃフェスティバルにも参加してもらえるとのことですので、お楽しみに。

◇また学園の話題で恐縮ですが、ここ数年、職場の図工の授業のひとつに端材工作を取り入れていますが、これがとても受けるのです。材料は私が工房で作品を作ったときの残り板。少し形がいいのを選んで取っておくのです。普段、何かと文句ばかりが目立つ子どもたちですが、早く木の工作をやらせてくれと毎週のようにせがんできます。しかし20人分をストックするにはほぼ一年かかり、本当に年に一度だけこの授業ができるのです。別にもったいぶって出すほどの材料ではないのですが、自分の作った作品の面影があったり、試作の苦労を思い出したり、とても自分勝手な思いで子どもたちに提供しています。今回は特に工房に行く回数も減っていましたので、貯めるのにずいぶん苦労しました。
 一方の子どもたちはそんなことには関係なく、袋に入った材料を選り好みして早速作り出します。くやしいのですが、木工ボンドひとつを道具におもしろい作品がどんどん出来上がります。ドールハウス風の家、宇宙人、ロケット基地、巨大なワニと子どもたちの柔軟な頭に感心しながら、日頃の凍てついているような心や言動が少しでもとかされることを祈ります。
◆ 今月紹介する絵本はマドレーヌシリーズです。この絵本もすでに出版されてから何十年も経つはず。息の長い、そしてシリーズものでもあきない魅力を持っています。うちの子が好きだったのは、やはり「マドレーヌといぬ」かな。迷子のイヌ、ジュヌビエームの名前もすぐ出て来ますから。翻訳ものでも、ゴロがとてもよく、読んでいても楽しくなります。子どもは気に入ると何回でもせがみますが、こんな絵本だと助かります。ひろばに一冊もないところを見ると今頃どこかの家で読んでもらっているのかな。先日まだ翻訳されていないシリーズも丸善で買ってしまいました。
◆ 今月の新着おもちゃは「遊ぼ」さんの通信に出ていたネフ社の新作ですが、ひろばの日までに購入できるか不明です。前日にお店が新装開店しますので、覚王山まで探しに行ってきます。


創作おもちゃフェスティバル  ボランティア募集中!!
 フェスティバル期間中のボランティアを募集します。展示や積み木コーナー、つくってあそぼうなどの補助員、後片づけなど、お手伝いしていただける方を募集します。できれば一日単位でお願いします。お弁当は支給されますので、名前を登録して下さい。   

    8月6日〜10日  時間 9:30〜5:30

 登録申し込みは日にちとお名前を明記の上、Mailでひろばまで送って下さい。
 とりあえず今月中にお願いします。

◇ ボランティア作業第三弾
 工房やひろばで「あそびはがき」のセットをお手伝いしていただきましたが、まだ500セットくらい残っています。全部仕上げたいので、都合のつく方は集まっていただけますか。

   3月23日 10:00〜12:00  ひろばにて

  

■ これからのひろばの予定
 4月、5月のひろばが都合により変更になりますのでご注意下さい。
   4月は27日、5月も25日
 第四日曜日に開きますのでおまちがえのないようにしてください。時間は同じです。
 工房は4月が12日、5月は10日の第二土曜日です。