ひろば通信 04-02
    ひろば 15日 工房 28日
 ・ 発行 おもちゃのひろば
 ・ TEL&FAX 052-834-1986
  Email tetsu-yo@sa2.so-net.ne.jp   2004年2月12日(木)
◇とにかく寒いですね。せっかく時間ができたのに、風邪気味のこともあり、なかなか庭の手入れができません。寒さに耐えている花を見ているとえらいと思いますが、春に咲く球根たちにはこの寒さが必要だとか。そんないいわけで水やりだけでごまかしています。
 部屋の中ではこの通信発行に合わせたように、今年もシンビジュームの花が咲き始めました。わが家では毎年この花が咲くと春が近くなった合図になります。土から芽を出し始めた球根と一緒に春を待ちたいと思います。

◇休日には工房にこもるという習慣が復活してきました。先月から作り始めた「ミニハウスシリーズ」が続いており、ついに10軒まで到達しました。全部並べると2メートルくらいの通りができ、先月のひろばで教わった大曽根の町並みのイメージに近いかと思いますが、あいにくまだ現地に行ってなく想像だけの世界。ご存じの方、写真からご判断下さい。ただ、残念ながらひろばにも工房にも全部展示できるところがなく、将来の課題です。
 このミニハウスは屋根の形だけ変えたものですが、二階にベランダをつけたり、階段の形を変えたりしてバリエーションを楽しんでいます。それにしても10軒分の家具は大変です。工房で制作予定の方、覚悟しておいて下さい。
◇先月の工房とひろばを取材してくれた中日新聞の記事が2月1日に掲載されました。ひろばの雰囲気がよく出ている内容でしたが、その後問い合わせがたくさんあり、今月のひろばが心配です。ここ二三ヶ月、延べ人数はとても多かったのですが、なぜかとてもいい回転でした。皆さんそれぞれすれ違いながらも、少しはゆったりと過ごしてもらえたようでしたが、今月はそうも行かないかもしれません。また、廊下にも場所を作りますが、昔のアパート時代のように遊べる雑木林がほしいものです。
◇先月紹介した漫画『光とともに』に続いて『「自閉症」という名のトンネル』(日向佑子著、福音館書店)という本を見つけました。私が教員になってからほどなくして耳にしたこの「自閉症」という言葉ほど誤解と勝手な憶測で語られてきた言葉はないかもしれません。専門家と言われる立場の方でもこの何十年と経た時間の中で、ずいぶんいろいろな見解が出され、現場の我々がどう判断したらいいか、迷わせることの方が多かったと思います。幸い私は初期の頃から佐々木正美さんとの出会いがあり、この障害は脳機能の偏ったバランスの悪さがもたらすものであり、医療と教育の両面からのケアが必要なこと、社会の場で生きていくために、開かれた環境の中で健常者との交流が不可欠なことなど一貫した考えを支えに理解してきたつもりです。
この本の著者も同時期に「自閉症」のもね萌音ちゃんに出会い、閉鎖病棟という環境の中で、まさに体当たりで取り組みますが、専門家からのアドバイスはなく、それでも直感で子どもたちのサインをくみ取っていきます。そして彼らと離れた後、ドナ・ウィルアムズさんらの自閉症者自身の言葉を聞きながら、再び成長した萌音ちゃんと再会し、二人で美しいブナ林の中を歩きます。自分たちにできることはどうしたら彼らの不安感を取りのぞいてあげることができるか、共感は無理にしても彼らの感じている世界にどこまで寄り添うことができるか、試されているのは私たちの方のようです。
◇かくいう私もそんなに大勢の子どもたちと接してきたわけではありませんが、マーちゃんの絵心には感服した思い出があります。ある時毎日のように物語の絵を描きだし、圧巻は「みにくいあひるのこ」のストーリーを何場面にも分けて描き綴ってくれたこと。その後私もお話シリーズのひとつとして、その作品をおもちゃにアレンジしてみましたが、彼女の綴った作品には遠く及びませんでした。
彼女のリクエストから作ったシリーズで最も遊んでくれたのは『おおきなかぶ』。ある時、遊んだまま片づけずに外に行こうとする彼女を呼び止め、ふと遊んだ後を見たら、かぶのまわりにおじいさんたちをならべ、みんなで食事する場面ができあがっていました。確か絵本にもそんな場面はなく、この子らの想像力に感心した思い出があります。 
◇ 絵本といえばすてきな作品を見つけました。
福音館書店の新刊『鹿よ おれの兄弟よ』舞台はシベリヤの森。鹿を撃つ猟師の若者の言葉を借りて、鹿の命と人の命とのつながりを叙事詩のように語ります。読みながら星野道夫の語るイヌイットの生活を思い浮かべ、細密画のようなタッチの絵に引き込まれました。

◇私もささやながら木工のテキストを出版しました。私の担当はほんの数ページですが、犬シリーズの作品と「白鳥の親子」の作り方を紹介しました。他の作品も初心者には参考になると思いますので、どうぞ。
日本ヴォーグ社発行    『木工』
◇今月の新着おもちゃはまた相沢康夫さんの「おもちゃの王様」の本から選びました。ひとつは相沢さんデザインの積み木『ヴィボ』一昨年テレビに出たとき、冒頭で自分が紹介したご縁のある作品。もちろん他のネフの積み木といっしょに遊べます。
もうひとつは『ジュバ』というあおむしくん風の作品。木のおもちゃの定番に入るかもしれない古くからある作品です。(緑色のみ)

◇またある雑誌社から「知育玩具」についてのインタビューを受けました。その分野での専門ではないのに困りましたが、今月から貸し出す「プラステン」などのそれっぽいおもちゃをどう扱うかなど、使う人、与える人の姿勢一つでおもちゃの価値が変わるという意味のことをまた語りました。
◇今月も組み木のひな人形「円雛」を飾りました。小黒三郎さんの組み木との出会いはすでに20年以上経ちますが、その中でもいちばん気に入っている作品です。自分の作品を考えるとき、何かテーマをしぼりますが、たいがいの分野で小黒さんの作品がすでに出来上がっており、それとちがうものを考えるのが一苦労です。それにしてもいつまでも大きな目標です。ひろばの前日はその小黒さんと杯を交わしているはずです。

  ◆3月の予定◆

 ひろば 21日(日)・工房 13日(土)