ひろば ２０日 工房 １２日
・ 発行 おもちゃのひろば
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２００５年３月１７日（木）
◇まもなく、卒業式を迎える。今年もくすのき学園で３度目の卒業生を送り出す。といっても、同じ敷地内の中学へ通う子も多く、本当の意味での巣立ちとはいかない。それに、１２才のこの時期なら、まだまだ庇護されてしかるべき年で、これからその庇護の元でじっくり自分を見つめなおしていくのが普通だろう。残念ながらこの学園で出会う子どもたちはその庇護される体験に乏しい子が多い。親の代わりはとてもできないが、そばにいる大人として、いっしょに生活してきた仲間として、これからも気にかけ見つめているよという、ささやかなメッセージだけは贈ろうと思う。
そんな気持ちで作ったのが、今年の卒業を記念した作品。地球を温めてくれる太陽と月と星で昼も夜も君を見ているよというメッセージは少々こじつけっぽいですね。
◇くすのき学園の仕事も７年が終わろうとしています。ここでの仕事で悩んだことのひとつは、作品のアイデアがまったく出なくなったこと。それまではそばの子どもたちとのやりとりをヒントに新しい作品を考えていましたが、その発想ができず、いったん離れたところで自分なりのメルヘンの世界を考えていました。「おやゆびひめ」や「ちいさいおうち」がその例ですが、７年間ずっと続けてきたことは、子どもたちひとりひとりに誕生日のプレゼントを作って手渡してきたこと。一応注文を聞きリクエストに応えるパターンで届けてきましたが、気づけばそれがいつのまにか新作のきっかけになるようになりました。あのミニハウスシリーズがそのひとつ。おかげでひろばでもよく遊んでくれるヒット作になりました。ただ、注文がだんだんエスカレートして「３階建てのエレベーター付きマンションにして」とか、「サーベルタ
イガーに羽根をつけて」などこの学園の子らしいわがままに答えるのが一苦労です。しかし、そんなわがままに答えるのも、つくり手としては自分の腕試しにもなります。わがままではありませんが、わが子の舞台小道具もイメージを聞き取り形にしたもの。自分の使える道具と技術からイメージを形にするおもしろさを味わっています。また、ひろばのおもちゃ修理も、いい勉強の機会。先月はミュージックボックスのオルゴールの修理。小さな歯車を押さえる針金部分のパーツを作り替えてみごと復活。これが可能ならひろばのおもちゃはたいがい直せそうですが、一応大切にね。◇先日、児童公園で会った子に「きつねのおきゃくさま」のお礼を言われてしまいました。組み木の作品にしたおもちゃをそのクラスに貸し出していましたが、毎日給食の後、代わる代わるみんなで遊んでいるそうです。つくり手としては本当にうれしい限りです。思わず、その絵本を注文してしまいました。できたら、作者のあまんきみこさんにこのエピソードを送るつもりでいます。
ひろば用にも作りましたので、絵本といっしょにどうぞ。
◇最近絵本を紹介する機会が少なくなりましたが、ひろばではよく利用されています。たまたま新聞書評で目にとまった新しい作品を紹介します。タイトルは『おじいちゃんと森へ』幼い頃おじいちゃんから森の不思議を聞き、心の糧にしていた青年が再び森の神秘さに気づくという静かな物語。写実的なタッチの絵が森へ導いてくれます。
