ひろば通信  06-11

 ひろば 19日 工房 11日            

 
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     2006年11月16日(木)

◇今月は突然悲しい出来事から始まりました。一日朝もらったばかりのウサギが出産したのです。小屋の隅には六匹の赤ちゃんウサギが一生懸命親を探しています。小屋にも入らずボーとしている親をそばに近づけますが、授乳の様子はなし。それでも動物病院の本能に期待してというアドバイスも受け、その日は暗くして見守ることにしました。
 以前にも二回ほど人工保育を経験しましたが、残念な結果に終わりました。今回もネット等で調べましたが、かなり難しそう。
 夕方になっても様子は変わらなかったので、やはり親から離し人工保育に切り替えました。ただ、ウサギ用のミルクはないので、子犬用で代用。スポイトと哺乳瓶で授乳開始。まだ目の見えない赤ちゃんと根比べの始まりです。飲ませなければ死んでしまうし、飲みっぷりも六匹六様。一匹ずつていねいにあげますが、そのうちどれにあげたか分からなくなってしまいます。そのくらい元気に動き回っていました。
 翌朝、ハラハラしながらのぞくとすぐ動きだします。問題はその後の三連休。毎日学園に通うのはつらいし、家には黒猫君がいるしで、迷いましたが、扉の閉まる「おもちゃのひろば」で世話をすることにしました。授乳は六時間おきに決め、早朝と夜中もがんばることにしました。大きさも色もちがうので、こちらも慣れてくるにつれ、ちがいがよく分かるようになりました。3日をすぎるとうっすらと産毛も生えてきて、体重も測ってみました。しかし、四日目になってもほとんど体重が増えていません。それにどのウサギも急に飲みっぷりが悪くなりました。スポイトで無理に飲ましても入っていきません。五日目になると二匹がもう動きません。翌日には学園の子どもたちに見せたいのですが、その日いちばん大きかった子も動かなくなりました。
 五日目の夜はついにチビだった子一匹になってしまいました。綿にくるんだ箱の中では寒いかもしれないと思い、その晩は自分のふとんの中に入れました。つぶしては大変なのでうつらうつらしながら添い寝。夜明けと同時にえさを要求してくる黒猫君を避けながら何とかその晩を乗り切りました。
 翌朝弱々しく動くチビちゃんをつれて学園へ。興味がすぐうすれる学園の子どもたちも生き物についてはするどいので油断なりません。チビちゃんが懸命に生きようとしている姿はぜひ見せたかったので、職員室で授乳のたびに関心を示した子をひとりずつ呼んで触らせてあげました。「かわいい」とうれしそうに反応する子に、何とか希望を持たせたかったのですが、子どもたちの下校とほぼ同時に命の火が消えてしまいました。
 今、自分の命を簡単に消してしまう子どもたちにも、この小さな命の姿を見せてあげたかったと思いました。
◇家具づくりが続きます。孫の次は母親用に、マガジンラック、ミニデスクと棚の三点セット。連休中はウサギの授乳のために数時間で工房から戻らなければならないので忙しい作業。それでも受け取ってくれる人が身近にいることはとても作りがいのあることだと感じました。おもちゃづくりもそうですが、渡す相手が見える関係、それをぜひ今後も続けたいものです。
◇おもしろ学校で予定した「機織り、編み物」メニューで悩んでいます。これまで、箱を使った織り機やカード織りなど定番のものはあるのですが、もういちど「織り」にこだわった頃の実践を思い出して考えはじめたら、資料が集まり過ぎてしまったのです。保健室の古カーテンを染めなおして巨大な裂き織りで作った絨毯や、大枚を叩いて作ってもらった本格的な機織り機など、並べるのに事欠きません。あの頃はものづくりの原点として「たべもの」と同時に「布」にもこだわり、人の手仕事の足跡を見直すことが障害を持つ子の教育にも役立つはずと考えていました。その意図は、障害児に役立つならそれは健常児にも役立つはずだし、健常児に必要なものなら、障害児にも必要なはずと、両者を分け隔てる思想に反発を感じていたからです。
 その考えは今も変わっていません。おもしろ学校で、教室の実践を紹介しているのも、そんな意図があります。楽しいことは誰でも楽しいという単純な発想が、改めて今の学校を生き返らせることになると思うのですが。
 で、織り機をいくつか試作してみますので、関心のある方、こんどのひろばで試してみて下さい。おもしろ学校の参加申し込みも受付中。まだ余裕がありますので、知り合いの方もぜひ誘って下さい。
◇ひろばのおもちゃの棚が本当にあふれてきました。それでもいいおもちゃはまだまだあります。そんなおもちゃとの出会いを提供しているひろばの管理人としては、やはり毎月ひとつは新しいものを探していきます。それが管理人の趣味でもあり,仕事でもありますから。
 で、今月はクレヨンハウスに「忍者セット」を注文しました。作者はテレビチャンピオンにもなった野出さん。おもちゃ会議の仲間でもあります。忍者の形をした積み木でいろいろな遊びが展開できます。彼の作品はシンプルな中にアイデアいっぱいの遊びが隠されています。そして、おもちゃの安全性についても厳しい姿勢を持ち、見習うものがあります。ひろばに間に合うといいのですが。

◇絵本も紹介します。
『ルリユールおじさん』(いせひでこ作、理論社)
 パリの街の風景の中に、ひとりの本好きな少女と老いた本づくり職人とのやりとりが静かに語られます。埼玉時代お世話になった「ガリ版職人」の先生を思い出しながら、手仕事の温かみを感じました。
◇寒さが増す中、先月植えた球根たちも芽を出しはじめ、今年の秋は順調かなと安心していたら、せっかく種から育ちはじめたパンジーなどの苗が虫に食べられて無惨な姿に。植え替えたとたんにぐったりした苗もあり、この世界はまだまだ未知のことが多すぎます。自然のままになんて気分だけは大上段に構えていますが、毎朝ハラハラしながら水やりをしています。そろそろ温室の準備をする季節になりました。
 職場では急に風邪がはやっています。皆さんもお気をつけ下さい。

◆◆12月の予定◆◆  ひろば 17日(日)・ 工房 2日(土)

(〒466-0837名古屋市昭和区汐見町97-1)