ひろば通信 09-11
ひろば 15日 工房 21日              

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   2009年11月12日(木)

◇朝晩の冷え込みはまさに冬間近。立冬が過ぎたので、暦の上ではもう冬ですが。でも、それに抗するように、花色が鮮やかに見えます。種まきしたパンジーたちも元気に育ち、初めて冬越したハイビスカスもやっと咲き始めました。その季節にはその季節に合った花が咲く。その実感をこの頃感じています。

◇久しぶりに佐々木正美さんの講演会に行ってきました。岐阜で開かれた「地域療育講演会」ですが、すでに15回を数えています。ここもしっかり続いているようです。
 佐々木さんの前には、重度の自閉症のお子さんを持つ山本浩人さんの話。子どもの障がいが分かり支援学校に就学すると同時に仕事をやめ、障がい者のヘルパーになり、さらに地域の理解者を増やすために小学校などで啓蒙・講演活動を展開しているとても元気なお父さん。正直に力不足を認めつつ、地域の中で何ができるか、理解してほしいと願うだけでは何も変わらないことを訴えます。
 「みんなちがって、みんないい」という合い言葉が本当の意味を持つように具体的な提案をし、他の人にもメリットがあることを親の立場から述べる姿に力強い「おやじ」の姿を感じました。

◇佐々木さんの話を直接聞くのはこれで何回目になるでしょう。ほとんど教員生活とダブっているので、よく付き合っているものです。こんなことを言うと失礼になるかもしれませんが、この先生は本当に自閉症やアスペルガーのお子さんたちが好きなんだと感じます。実は親としてもその障がいを受け止めていることもはじめて知りました。
 結論はいつも同じです。この子たちが障がいのまま幸福に生きるために、私たちの理解と支援が必要。いちばん困るのは無理解で熱心な人。
 今回は二日目にご自身がアスペルガーとLDの障がいを持つお母さん、笹森理絵さんの話があり、今までに味わったことのないずっしりしたものを感じました。

◇最近、当事者が語る自閉症の本がたくさん出ており、彼らの感じている悩みや不安感が分かるようになってきました。それでも、彼らの生きている世界はほとんど正常と言われる人の中にあります。そこで味わった苦い体験は一生を左右するくらい重いものがあります。笹森さんはご自身に似た障がいを持つお子さんがおり、子どものことで悩み、診断を受けさせないご主人の態度に悩み、自分で調べるうちにご自身の障がいに気づき、やっと診断をしてもらうことになります。往々して幼少の頃の診断はその先の振り分けに使われる悪しき習慣があり、そのことでも偏見があるのでしょう。しかし、彼女はようやく自分のことを正しく分析できる知識を得ることができ、親の会の活動にも参加し、当事者として親と子どもをつなぐパイプ役を務めているそうです。診断の正しいあり方を見た気がします。
 親子連動型発達障害と言い切り、障がいを笑いに変えてしまうパワーに圧倒されました。

◇印象に残った講演語録集
・親はともすると最大の偏見者になるときもある。
・彼らは一度傷つくと記憶から消えない。だからしかってはいけない。
・彼らとは文化がちがう。こちらから近づくしかない。
・本人に告知するときは親としてその障がいをよきものとしてしっかり受け止めてから。そして、彼らの良い面をたくさん語ってあげる。
・学校をさぼる子は他の国でもあるが、不登校があるのはこの国だけ。
・いじめの背景にはその子たちの親子関係が影響している。
PS 佐々木正美さん一家のホームページがあります。「ぶどうの木」 http://www.budouno-ki.net/index.html

◇読書の秋が続きます。佐々木さんつながりで 「かわいがり子育て」・・三歳までは思いっきり甘えさせなさい。次の二人の同時進行も続きます。
重松清「トワイライト」村上春樹「ねじまき鳥クロニカル」三部作。・・・トワイライトは同窓会の話。来月私も小学校,高校の同窓会があるので、とても親近感を持って読みました。ただ、自分の青春時代はさほどドラマチックではなかったですが。ねじまき鳥はまたまたよく練られた話。よくこういう世界が描けるものと感心。風貌からは想像できません。
 漫画も読みました。「Drコトー診療所」の続編がようやく出ました。原さんが息子の進学のことで島を出、老人問題も絡んできます。そして「ヘルプマン」も続きます。介護が妙なところで注目をあびていますが、甘くない現実には変わりありません。新政権に期待したいことのひとつですね。
 手塚治虫漫画全集の新装版は活字が小さくて、断念。彼のファンの年も考えてほしいものです。

◇テレビの「不毛地帯」をはじめとして山崎豊子もすごいですね。あの年にして、女性の立場から豊富な取材と一貫した姿勢の中で大作をしっかりしたためています。本はまだ手づかずですが、公開中の「沈まぬ太陽」は見に行きました。四時間という長丁場も苦にならず見入ってしまいました。ただ、渡辺謙さんが前面に出過ぎで、個人の生き方のみが強調されすぎていたのが残念でした。「不毛地帯」は父も関係していた商社がモデルらしいので毎週の楽しみです。

◇先月は職場の学校の作品展があり、その準備に四苦八苦していましたが、その合間をぬって調理実習をしました。メニューは以前から試してみたかった電子レンジを使ったパンづくりです。
 この仕事を始めた頃からチャレンジしてきたパンづくりですが、何せ時間がかかります。前の職場の「くすのき学園」では本当に待てない子どもたちが多かったので、その頃流行っていた「裏技」を駆使して悪く言えばごまかしていました。
 でも、発酵に電子レンジを使うこのやり方だとほぼ一時間くらいで完成します。しかも材料は同じ。
 今回は得意のピザの生地づくり(学生時代一年間ピザ屋でバイトをしましたから)で試したところ大成功。熱々のピザをお腹いっぱい食べました。皆さんもぜひお試しを。

◇今月の新着おもちゃはカレンダー集めと同時に早々と決めました。「黒ネコゲーム」で隠れたチョコやチーズの居所をあてます。集中力と記憶力の勝負なので、お子さんにはかなわないかも。
  先月紹介した十字形のパズル「DUALOCK」ですが、がちゃがちゃ振りながら遊んでいたYくんがあっさりはずしてしまいました。見ればなるほどという仕かけ。ひとつ勉強になりました。
 カレンダーはわが家に少々多すぎますが、いちどかけてしまうとその場にないのがさびしく、つい毎年そろえてしまいます。来年はまた林明子さんのが出ますのでお楽しみに。

◇工房の日が珍しくひろばの後になります。今月は来年の干支に向けて、小黒三郎さんデザインの「虎」に挑戦する方が多いと思います。Uプランから新しいデザインを購入してお待ちしていますので、参加される方はご予約ください。午後の部はまだ空いています。なお、来月の工房は日曜日に設定しましたのでお間違えなく。

◇職場の作品展ではクラスの共同作品として「赤ちゃんハウス」を作りました。ワークショップで紹介したドールハウスを三階建てにして、思い思いの家具を並べ、ひとりずつ小さな赤ちゃんを組み立ててもらいました。ハンディのある子どもたちの作品にはそれだけで味があります。ただ、それをどう見せるかというのが、こちらの腕の見せ所。やらせではなく、こちらにやらせてもらいました。意味不明?

◇からくり恐竜を作り直しています。今回はステゴくん。ティラノくんと合わせてごっこ遊びになりそう。そのティラノくん制作を予定しているおもしろ学校の申し込みがもうひとつ反響がありません。ぜひお近くの方にご紹介ください。

  ◆◆12月の予定◆◆  ひろば 20日(日)・工房 13日(日)