ひろば通信 10-02
ひろば 14日 工房 20日             

・発行 おもちゃのひろば  
・TEL&FAX 052-834-1986  
・Email toyhiroba@sa2.so-net.ne.jp
・HP http://toyhiroba.raindrop.jp/
   2010年2月12日(金)

◇豆まきの後は立春のはずなのにまだまだ寒いですね。大事に育てている苗もなかなか背伸びできず、しまいには霜柱とせめぎあっています。
 さすがに梅だけはわずかな日差しの中で咲き出し来月の節句に備えています。玄関では前回紹介したはじめてのひな人形と小黒さんの組み木ひながなかよく並んでみなさんをお待ちしています。

◇冬は植物にとっては休眠の季節ですが、野菜はけっこう元気で、学校の畑ではカブが大収穫。「おおきなかぶ」のお話のごとく、両手にあまるようなカブがいくつか収穫できました。ただ、カブ料理の知識がなくたびたびのおみやげでそれなりに喜んでもらいましたが、もうひとつ白菜が元気に育ち、こちらは考えた末はじめての「キムチづくり」に挑戦することにしました。
 できれば韓国の方に教えてもらいたかったのですが、知り合いもなく、本とネットの資料を探るとまるでまちまち。しかたなく勘で材料を揃えて挑戦。ミキサーも駆使し、韓国製の唐辛子を混ぜるとそれなりにキムチっぽくなり、とにかく完成。自前の白菜とダイコンからできたキムチはものすごい貴重品。子どもたちは米飯給食のおまけに遠慮なく箸をのばしています。

◇最近「木育(もくいく)」ということばを耳にします。昔出した本の副題に「木のおもちゃで手づくり教育」なんて書かれた時、とてもはずかしいなと思ったのですが、今広まりつつある「木育」の流れの中にはそのことも含まれており、先取りだったのではと自画自賛しています。
「木のことを知り、木に触れ、木とともに生きよう」 と、呼びかけている人たちは壮大な思いを抱いていますが、まずは身近な自然やそばにある植物を見直すこと。自分とのつながりに思いをはせること。ゆったりとした「森の時間」に身を委ねてみること。
 さて、あなたもどこからか始めてみませんか。

◇この「木育」の提唱は北海道の木に関わる面々が言い出しっぺですが、その一人におもちゃ作家煙山泰子さんがいます。かつて日本おもちゃ会議の活動の初期の頃、いろいろなイベントでご一緒させてもらいましたが、先日久しぶりに直にお話を聞く機会があり、まるで同窓会で会ったような気分でした。彼女の作品はひろばにもいくつかあり、素朴さ、北海道らしさ、母親らしさが感じられます。それらが過ぎた時間も感じてください。

◇年賀状のレイアウトに眠っていた「積み木セット」を取り出したのですが、そのカビ臭いこと。とてもすてきなセットなのですが、奥にしまってあったこと、重すぎることなどでほとんど貸し出しもなく開けてみてびっくり。急いでアルコール布で拭き取り、箱も修理しましたが、においは消えず、その後二ヶ月間じっくりと天日干ししました。ほとんど復活しましたので、ぜひご利用ください。対照的な濃淡のある良質なブナ材が使ってあり、積み木遊びの入門には最適だと思います。

◇ここのところ、絵本の紹介をあまりしていませんでしたが、ベストセラーになりそうなのが、いわいとしおさんの『100かいだてのいえ』とその『ちか』の二冊。いわいさんはメディアアーティストという肩書きでテレビのアニメーションでもそのセンスを発揮していますが、ユニークな図工の授業をはじめとして、実際に手を動かして楽しむ世界を大事にしているそうです。

 その絵本は全編たてにめくるという仕かけ。すると、たしかに上にのぼったり、地下に下りていったりします。ラジオのトークでどこかに別のしかけがあると聞いたのですが、まだ見つけられません。彼はテレビゲームにも批判的で、もっと感性を大事にした作品を提供しようとDS用のソフトも開発しています。タイトルは「エレクトロプランクトン」で、海中で遊んでいる気分に浸れます。ラジオではこの絵本を石井桃子さんとターシャ・テューダーさんに捧げたいと話していました。
 もう一冊は『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)おおきないえに住むマリーの隣にちいさないえがあり、そこにはねずみの一家が住んでいます。ふとしたきっかけで近づくことになり、やがて成長して、さらにお話は続きます。どこが気に入ったか分からないまま、レジに立っていました。

◇『かいじゅうたちがいるところ』が映画化され、期待しましたが、絵本からかもし出す子どもたちの中に眠るイマジネーションというかエネルギーみたいなもやもやしたものが、映像では逆に限定されてしまった気がして薄い印象でした。
 センダックの作品はいろんな解釈ができて、何回も読み返してしまいますが、最新作の『ブルンディバール』はすっきり解釈できます。こどもオペラが題材で、ナチスの強制収容所でも上演されていたという内容で、ユダヤ民族の悲劇と重ねると深い印象が残ります。

◇この時期はそろそろ6月に銀座で開かれるアートイ展の作品構想を練らなければなりません。今年のテーマは「浮遊」。いつもお話と結びつけて考えていますので、空のイメージから「かもとりごんべえ」なんぞはと思いましたが挫折。ある時、職場で水族館に行ったら、水の中でもいいと気づき、ではカメにのって竜宮城へ行く「うらしまたろう」の話をただいま構想しています。

◇ベストセラー『博士の愛した数式』を書いた小川洋子さんの新刊『猫を抱いて象と泳ぐ』は、タイトル同様不思議なモードに包まれて,一気に読める本でした。チェスの試合が舞台で、ご本人は指すこともできないそうですが、その展開の仕方にはチェスを知らない人にもスリルを感じて伝わってきます。かくいう自分もこうした勝負事はまったくセンスがなく五目並べを7個(いきなり四三)で負けてしまった記録を持っていますが、つい、チェスセットを購入したくなってしまいました。いつか作りますか。

◇重松清の『いとしのヒナゴン』の映画化『ヒナゴン』のDVDをレンタルしました。これはとてもうまくまとまっていました。『きみのともだち』はひろばでも貸し出します。もうひとつ『オーシャンズ』の映像も大画面でゆったりと楽しんできましたが、以前発売されていたDVDの『ディープブルー』も楽しめますので比べてみるのもいいですね。映像から逆に絵本になった『つみきのいえ』のDVDもありますのでご覧ください。

◇新着おもちゃを紹介します。
 ひとつめは京都の松島洋一さんの作品《スポラ》彼の作品はひろばでも人気ですが、今回のも楽しめます。げんこつで思い切りたたくとキノコ型のこまが飛び出して着地と同時に回ります。気持ちいいですよ。
 ボードゲームも用意しました。《ネコとネズミの大レース》ネコに追いつかれないようにチーズを探しながらの冒険旅行。チーズをたくさん取るか、見限って休憩するか、そんなかけひきもありますが、小さい子でも楽しめます。


■イベントの紹介です。
・「キッズデザイン」展 名古屋近辺で活動するデザイナーたちがおもちゃを中心とした展示会を開催します。若い学生たちの作品も並びますので、新鮮さも味わってください。  
・2010.2/17〜22 国際デザインセンター4F 11:00〜19:00(最終日は17:00まで) なお21日のワークショップは締め切られました。

  ◆◆3月の予定◆◆  ひろば 21日(日)・工房13日(土)