ひろば通信 10-09
ひろば 19日 工房 4日             

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   2010年9月17日(金)

◇夕方になるとやっと秋の気配を感じる日もありますが、この暑さはどうなっているのでしょうね。
 暑さを避けるように先日青森まで出かけ、「一日おもしろ学校in青森」を楽しんできました。地元のおかあさんたちの長年の夢だったそうで、ご招待にあずかった四人のメンバーも半ば恐縮しながら、このイベントを始めた頃の名古屋での熱気を思い出していました。お手伝いの学生たちも含めてほぼ100人近い雰囲気に圧倒されましたが、子どもたちはとても素直で、日本中どこに行っても子どもたちは変わらないなと妙に安心しました。

◇せっかく青森まで出かけたということで翌日は丸一日の青森ツアー。前日の夕方「三内丸山遺跡」で縄文文化を味わった後でしたが、まだまだ他にもありそう。翌日は早朝から車を飛ばして、まずは世界遺産の白神山地へ向かいました。以前は入山制限がきびしかったのですがかなり緩やかになり、朝日映えるブナ林を歩きました。ブナの他にもいろいろ雑木が混じり、森の空気を満喫。この夏、念願の熊野古道も歩きましたが、植林された杉が中心だったのでここでは本物の森を味うことができました。よく見るとどこかで見た風景だなと思いましたが、それは安野光雅さんの「もりのえほん」でした。本当にそっくりでしたよ。

◇ツアーのしめは太宰治が育った斜陽館。豪華な二階建ての母屋に感心しながら、恵まれた環境で育った天才児が綴る暗さがどこから来るのか想像していました。改めて小説を読み直してみる気持ちになりました。

◇この夏もいろいろ出歩きました。ガイアシンフォニーの七番に出てきた熊野古道の自転車のツーリングを夢見ていますが、まずは下見をかねてバスで出かけました。石畳を歩きながら、ところどころに古い地蔵があったりしてなかなかいい雰囲気。と思いきや雨が振り出し、しまいには川のような流れの中を下山。家にもどってからリュックの中の本を干すはめになりました。
 テレビで見た恐竜ライブを味わってみたくて早々と予約してありましたが、少し興ざめでした。大きさも動きもよく出来ており迫力はあるのですが、それで何という感じ。博物館で想像していた方がいいみたいでした。
 自閉症の研修をかねて上京したついでに東京のイベントを探索。まず恐竜つながりで「最古の恐竜展」に出かけ、これまであまり知られていない三畳紀の展示に驚きました。しかも高いビルの中で夜景を背景にして恐竜が並んでいたのでとても不思議な迫力がありました。
 目黒の美術館ではクルト・ネフさんの初期からの作品展示があり、おもちゃデザイナーの真髄を見た思いがしました。会場では小黒三郎さんや相沢康夫さんにもお会いしました。また組み木を切り出した頃よく参考にしていた福田繁雄さんの作品も展示されておりとても懐かしい思いがよみがえってきました。
 ジブリのアリエッティは予想以上の出来で、もう一度見たいアニメのひとつですが、自分も小人になれる展示会を見てきました。窓からのぞくと巨大なくつが見えたり、1メートル近いゴキブリが飾ってあったり、しばしメルヘンの世界を堪能しました。

◇旅行の後は映画に読書。こんな日々を送っていると定年後の生活を試しているようで、妙な気分になっていました。
 涼しいかなと思って出かけた岡山は名古屋と変わらず今年の夏は日本中猛暑であることを実感。5歳になったアーちゃんが振る舞ってくれるバーベキューを楽しんだ翌日は「ヒックとドラゴン」をいっしょに鑑賞。けっこう迫力があるアニメでした。 もうひとつアニメで印象的だったのは「カラフル」いちど他界した少年が現世にもどることを許され、改めて家族や自分のあり方を見つめ直していく過程がていねいに描かれています。悩んでいる中学生に見てほしいと思いました。原作もお勧めです。
 名演小劇場で上演されている「セラフィーヌの庭」は不遇な画家を描きつつ、全編が絵画を見ているような構成でずんと深く心に残りました。

◇夏に読み終わった本をピックアップします。またひろば図書館が増えてしまいます。
・神の子どもたちはみな踊る(村上春樹) ・床下の小人たち(メアリー・ノートン) ・十字架(重松清) ・子育てハッピーアドバイス「ほめ方・しかり方」  「小児科の巻2」 ・ 子どもたちの遺言(谷川俊太郎) ・春との旅(小林政広) ・カカシの夏休み(重松清) ・原稿零枚日記(小川洋子) ・ヘルプマン15(くさか里樹) ・夜のだれかの玩具箱(あさのあつこ)

◇改めて紹介したいのは佐々木正美さんと岡崎勝さんの対談を編集した「友だちってなんだろう」(日本評論社)
 ふたりともよく存じ上げている方ですが初対面らしく興味津々で読みました。現場での豊富な体験から子どもの現実を冷静に分析している岡崎さんからの質問に佐々木さんが大きな視点から答える形になっていますが、そのからみが絶妙でした。ぜいたくを言えば二人の視点がほぼ一致しているのでまとまりすぎていること。ぜひこの続編の刊行を期待します。
◇新しい工房の構想が進んでいます。熱田区のビルに工房を構えてほぼ15年。これまで本当によく使わせてもらっていましたが、いよいよひろばと同居する形にしようと思います。それは何度もお話ししているようにアパートの一室ではじめたひろばにすべての思いが結集しているからです。好きなおもちゃで遊びつつ、自分でも作ってみる、親子で作ってみる、お子さんのリクエストに応えてみる等々、そばで実際に作っている姿を小さいうちから見せるということは、きっと自分でもやってみたいと言う気持ちにつながります。手仕事が忘れられつつあるこの時代、おもちゃづくりから手仕事を見直してみるのもいいですね。
 ただ、実際に工房の移動を考えると、ご存知の方は分かると思いますが、普通の引っ越しの比ではありません。これから両方の片づけに入りながら、来春の工房開きをお楽しみに。

◇この夏の作品作りはまず「三匹のヤギのガラガラドン」の仕上げから。持ち運べるお話セットとして「おおきなかぶ」のように小さなイベントで使ってもらえれば幸いです。
 とてもシンプルなおもちゃを思いつきました。老いた母の手なぐさめになればと、さらに小さなもみじのような赤ちゃんの手にも合うように、丸い動物の顔を切ってみました。そっとゆらすとゆらゆらするかと思いきや、ころがってしまうのであまりに単純過ぎました。でも、これを機会に赤ちゃんをイメージしたおもちゃから自分の作品づくりを見直してみようかと思っています。同時に老いた人たちにも喜ばれるような作品も念頭に、自分の頭が老いないようにしぼってみたいと思います。

◇今月の新着おもちゃはカードゲーム「はりねずみ」です。色分けされたハリネズミ家族が他のカードをめくりながら冬眠させていきます。冬に向かうには少し早いですが、簡単なゲームで楽しめますよ。    

  ◆◆10月の予定◆◆  ひろば 17日(日)・工房9日(土)