ひろば通信 11-05&06

・発行 おもちゃのひろば  
・TEL&FAX 052-834-1986  
・Email toyhiroba@sa2.so-net.ne.jp
・HP http://toyhiroba.raindrop.jp/
   2011年5月29日(日)

◇新装開店した新しいひろばと工房も、ようやくいい形になってきました。今、管理人が調子にのっていますので、朝早くから起き出して活動しています。そのせいかそこら中がきれいになりつつあります。不思議なことに、今まで埃にまみれて湿気で黒ずんでいた作品も、ていねいに削り直し、みがき、置き場所を作ってあげると見違えるような作品に生まれ変わります。それぞれの居場所って大切ですね。

◇時間にゆとりがあることが心のゆとりにつながると実感しています。早起きしているだけでなく、そもそも一日の始まりがゆっくりですので、父の書斎にあがりクラシックレコードを聴きながらその日にこなすことをメモしています。
 その前にはモーニングコーヒーを入れ、ウッドデッキでゆっくりと味わっています。リフォームでいろいろなところを直しましたが、この空間が最も気に入っています。そこですわる椅子は、以前実家の数奇屋門だった檜の柱を使って作りました。コーヒーを飲みながら新緑の葉をながめ、そよ風に当たり、蒔いた種を観察して成長を楽しんでいます。
 これまでもガーデニングには相当入れ込んできましたが、2軒分の庭になり、両親の残した草木も整理しながら、この空間でよく育つように世話をやり直しています。
 そのひとつは、充分にすき間をつくり風通しがよくしてあげること。日当りの良し悪しをその植物の特性に応じて考慮し、場所を調節してあげること。なるべく自然の状態を大切にしてあげることetc。どれもこれまでやれそうでうまくできなかったことで、すべてこの「ゆとり」からようやくできてきたことです。
 さて、これからは虫の季節。サンショウの葉に飛んでくるアゲハをながめながら、虫や鳥と植物の間に割り込んで、少しはこちらにも収穫のお裾分けをお願いしたいのですが甘いかな。

◇オープニングの3日間は、新しい空間のお試しとしては大成功でした。4台の糸のこを動かして作ってもらったキュープパズル。はじめて糸のこを使った三年生の子も、仕上げまでがんばっていました。これも時間のゆとりが大きかったかもしれません。作った後パズルとして楽しめるのも大きく、自宅でも遊んでいますという声をうれしく聞きました。
 この楽しさを東北の子どもたちにも味わってもらおうと、「組み木創作の会」の緊急提案に応えて、イヌネコウサギのワンセットを急いで作り送りました。思いつくとすぐそばで制作ができるというこの距離がとてもうれしいです。
 地下のひろばも少しだけですが、「ゆとり空間」 が増えました。回数も二回に増やしましたが、三々五々集うにはちょうどいい感じでした。パズルつながりでは、この仕事のスタートの頃ハマっていた小黒三郎さんデザインの動物組み木の大作パズルが広げられ、時間を忘れて子どもたちを楽しませていました。
◇新しい工房のもうひとつの売りが、ギャラリー空間。手前味噌で、これまで箱の中に積み込まれていた作品を展示しました。自作の中からよりすぐったものですが、ミニ個展としてときどき入れ替えていくつもりです。ひろばの帰りにでもお立ち寄りください。
 この空間では、別のものづくり教室を予定しています。後ほど紹介しますが、7月には特別講師として京都の布のおもちゃ作家大江委久子さんを囲んで糸と針の世界を楽しんでもらうつもりです。ぜひお出かけください。
 来月は何と小黒三郎さんが工房に寄ってくれるそうです。鶴舞で個展が開かれるので、そのついでですが、四台の糸のこで組み木を作り、やはり東北の子どもたちに届ける運動の手助けをする予定です。これは糸のこに自信のある方中心ですが、見学は自由ですのでぜひのぞいてください。

◇さて、私だけ12連休だった残りのGWは、入学したアーちゃんとの久しぶり再会を楽しみました。 まずは、工房で
「手打ちうどんづくり」。地粉を塩水でこね、かたまりを足で踏み、少し寝かせるおなじみのコース。テキストはこれまで何度もクラスで使ってきた「子どもとつくるほんもの料理」そこにうどん屋さんから教わったコツを加えれば成功間違いなし。我ながら本当に味のあるこしもしっかりしたうどんができあがりました。
 娘一家とうどんパーティーの後は、いよいよアーちゃんの糸のこデビュー。娘たちには入学前から体験させていましたが、さて慎重なアーちゃんがどこまで挑戦するか見ものでした。「じいじ、放しちゃダメだよ」とほとんどこちらが手をそえたままでしたが、箱付きのキューブパズルの完成まで、ほぼ一時間あまり集中していました。この糸のこ体験、小中学校で誰でも体験するはずですが、大人の方に感想を聞いてみるとあまりいい印象は残っていないようです。せっかくの機械、ぜひこの工房でものづくり工作のおもしろさを味わってほしいものです。

◇今、ある小学校でそのアーちゃんと同じ一年生や二年生の算数授業のお手伝いをしています。同じ単元でも先生によって教え方がちがったり、そうか、だから子どもたちがつまずくのかということがよく分かります。なぜならこれまで実践豊かなおもしろ学校のスタッフたちからさんざん算数の教え方の問題点を聞いていましたから。
 残念ながらとまどっている子どもたちがとても多く、お手伝いだけでは時間が足りません。いよいよ算数塾でも始めますか。これは冗談です。

◇ 会う人ごとに3月11日を境に人生感が変わってしまったと共鳴することが多い日々です。今だに事態の解決にはほど遠く、事実が証される度に怒りを通り越してしまう自分の頭の中もまったく整理しきれていませんが、事態はそんな甘い次元の話ではなくなっているようです。ただ毎日新聞に載った父親が東電で働いている六年生の記事にはガーンと目を覚まされました。自分の立場を見据え、冷静に訴えかける言葉に背筋がのびます。(記事を読みたい方はご連絡を)

◇ひろば基金へのご協力ありがとうございます。 新しいひろば&工房になり、運営の仕方を今模索しています。その結論が出る前に、これまでのストックから震災で保護者を亡くした子どもたちへの「希望奨学金」(毎日新聞取り扱い)へ10万円寄付しました。あくまでひろばへの協力ということで呼びかけていますが、どこにお金を使ったら役に立つのかその都度半ば思いつきで処理しますのでご了解ください。

「一日おもしろ学校ごっこ」が近づいています。でも、今回はとても申し込みが少なくどうしてかなと考えています。まさか震災の影響ではないと思いますが、あの日を境に日本中が変わってしまった流れはあるかもしれません。早く日常を取り戻すためにも、楽しいことはぜひ続け広げたいものです。
 ぜひお力を。

◇楽しみを増やしてばかりの管理人ですが、またハマりそうなのが「七輪」の料理。実は新しい工房でぜひ薫製づくりをやりたく、さっそくキッチンで挑戦しましたが、煙がものすごく、工房ごと薫製になりそうだったので断念。そこで七輪を購入しウッドデッキで炭をおこして、今いろいろ試しています。それがとてもグーなのです。またまた飲んべえになりそう。

◇そろそろ銀座のアートイ展も近づいてきました。のんびり新しい作業場の整理ばかりしていましたが、図面だけは仕上げていました。今回のテーマは「すきま」。私の選んだ題材は「不思議な国のアリス」。その心はストーリーのすきまにある「さしえ」のような、お話を連想するおもちゃを構想して「アリスinトイランド」と称した作品群が並ぶはずです。ただいま試作中ですが、はたして間に合うでしょうか。

◇今いろいろなところで「節電」が叫ばれています。そんなこと昔から当たり前だったはずですが、自分のまわりをながめ回してもいかに電気に依存しているか痛感します。肝心の作品づくりも電気なしでは完成しません。せめて仕上げは手でていねいにすることと、ときどきは電気をまったく使わない木工にも挑戦するつもりです。ノコギリにカンナ,ノミと道具はそろっているのですから。まずはナイフでのえんぴつけずりを実行しましょう。みなさんもいかがですか。

◇新着おもちゃが間に合いました。おもちゃ会議の仲間でひっつきむしの作者藤原さんから新作の「ひっつきむしの積み木」が送られてきました。前の作品と会わせてひっきむしの森ができあがりそうです。しばらくひろば専用で遊んでください。

◇木の時計の第二弾を考案しています。前回は十二支だったので、今回は十二星座。いつも人形に使っている楕円形の中に収めてみました。難しかったのが「ふたご座」。なお、乙女座はなぜか黒柳徹子をモデルにしました。

◇おすすめ本の紹介をいくつか。
・「ミーナの行進」小川洋子著 中公文庫  彼女の文体のうまさにはいつも感心します。そして描く世界の現実にありそうでありえない幻想的な雰囲気がとても好きです。このストーリーも病弱な少女とコビトカバが登場し神戸の街とのマッチ(だじゃれ)が不思議な雰囲気をかもし出しています。
・「星の王子さま」ジョアン・スファール作 池澤夏樹訳 サンクチュアリ出版  サン・テクジュベリの遺族が唯一認めた原作のコミック版です。原作の挿し絵から想像する王子様のイメージとかなり異なるので一瞬あれっと思いますが、どんどん引き込まれていきます。訳もさすが世界文学全集をひとりで編集してしまう池澤夏樹なので、読みやすさが証明されています。

◇おたよりから
・娘も20歳になりました。早く孫を連れて訪ねる日が来るのを楽しみにしています。(知多・Aさん)
・先日伺って「私の原点だな〜」っと再確認しました。わずかですがいつも応援しています。 “ひろば&工房”の輪が広がりますように。 (守山・Aさん)       

◆6月の予定◆   ひろば 5日(日) ・19日(日) /工房  18日(土)・26日(日)PM CM なお26日の午前中は小黒三郎さんの 「特別組み木教室」が工房にて開かれています。  見学はご自由に。