ひろば通信 12-01             

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   2012年1月5日(木)

 新年 あけまして おめでとうございます

◇何となく小さな声になってしまいます。そんな気持ちをお察し下さい。  

◆◆今月の予定◆◆  ○ひろば 8日(日)・21日(土)  
           ○工房 14日(土) 要予約

◇別に落ち込んでいるわけではないのですが、これまでのように手放しで新年を喜べない、どこか引っかかるものがあります。それほど昨年の「3.11」は大きすぎました。復興を祈りつつ 〈忘れない〉と誓うのみです。

◇元旦のほろ酔いは勘弁してもらい、2日からはもう工房で作業。大掃除したばかりの機械に油を注し、まずは今年の干支づくり。年賀状に使ったクランクシリーズをプレゼント用に作りました。
 続いて、最近なぜか図面おこしが始まっている「仏像組み木」の新作。左右対称の図面なので、慎重に切れば裏返してもはまるはず。自分の腕の診断にもなる手強い作品です。やっと10体になりました。どこまで続くか楽しみです。
 顔の作品は新年早々の展示会作品です。テーマは「こころ」。悩んだ結果、こころの状態は顔に表れるかなと、顔の表情が変わるように目線の角度が変わるようにしてみました。仏像と合わせて出品する予定です。

◇いったん木工作業が片づいた後は、同じ工房でパン作り。暮れから挑戦していますが、三度目にしてようやく発酵が成功し、昔使っていたガスのせオーブンを取り出して焼きあげました。テキストは「世界一やさしいパン作りの本」(文化出版局)なのに、なかなかうまく行かずあきらめかけましたが、本当に三度目の正直でした。
 このパン作り、昔やっていたように生地をバンバン力一杯こねるのではなく、さっくり混ぜたら、ひたすら半日以上じっくり寝かすだけ。二次発酵も三時間と、この時間をかけるところがみそ。ゆっくりできる今の環境だからこそできるのかもしれません。

◇家族にあきられながら、ついに仏間にも侵入。 機織り機をセットしてしまったのです。先月からやっていた毛糸の草木染めが一通り終わり、横糸の準備完了。ただ、たて糸のセットがたいへんでずっと棚上げになっていたのです。意を決して50本の糸の綾をとり、慎重に通していったのですが、ほぼ十年振りくらいだったせいでしょうか、二三本おかしいところができてしまいました。それでも試しに色とりどりに染めた糸で織り始めると、やはり楽しい作業です。 本物体験のひとつとして、ぜひ皆さんも味わって見て下さい。ひろばの日か工房の日のついでに試してみてください。

◇というわけで、糸のこ工作に、パン作り、機織り機と、これまで自分が学校という場を使って取り組んできた「ものづくり」がこの工房で復活しつつあります。学校では、ひたすら子どもたちに体験させようと、思いつくことをどんどん用意してきましたが、肝心のそれが本当に子どもたちの役に立つのか、将来につながるのかという検証はそっちのけ。楽しければいいんじゃない、むずかしければ手伝っちゃえばというノリでやってきました。とても研究レポートになることではないのですが、つきあってくれた子どもたちにひたすら感謝です。
  それをまた復活させたのは、やはりものづくりは楽しいから。自分の手で何かを作り、さらにそれが生活に役立つならなおさらです。
 ひろばにそろえたおもちゃもそうですが、もしそれらが手元になくても、別に生活に困るわけではありません。わざわざ手づくりしたものでも、必要なら買えば済むことです。それを手づくりにこだわっているのは、たぶん心が豊かになるからでしょう。いつもうまくいくわけではない、スリルもあります。その繰り返しの中に手仕事の醍醐味があるのかもしれません。

◇そんな思いをさらに強めてくれたのは、一本の電話から。くすのき学園の時の教え子Mくんは、小学校の時から料理好きでしたが、その後本気で調理師の免許をとり、あるお店で働いています。学園でいっぱいやった調理実習が生きているみたいです。
 そして、しばらく振りに連絡があったのは、糸のこをやってみたいからだそうです。「あんな楽しかったことはない」と、ふらりと訪ねて来てくれました。昔、彼のリクエストでデザインした「千と千尋」の白龍は、彼にも大満足だったみたいですが、今度は自分でも作ってみたいと、気に入ったゲームのモンスターを描いてきました。かつてはほとんどこちらまかせだったのに、成長したもんだと感心しながら、完成した作品をご覧下さい。
「どうしてもっと糸のこを広めないの、絶対おもしろいのに」と関係者が聞いたら涙が出そうなことを言ってくれます。これまでたくさんの人に糸のこ体験を提供してきましたが、こんなにはっきり言われたのははじめてです。いちばんハマっている自分をはじめとして、この機械の魅力はつきません。もっと普及させたいのは山々ですが、それは残された時間の宿題にしておきます。

◇正月映画は「タンタンの冒険」にしました。アニメっぽくないアニメで、さすがにインディジョーンズシリーズのモデルになっただけあり、迫力満点。コミック版からは想像できない展開がスピルバーク監督によって色づけされています。続編もできそうです。

◇大田堯さんをご存知ですか。九十歳を越えた有名な教育学者ですが、昔縁があり、直接お話ししたことがあります。大学卒業を前に行くあてもなく、大学院を受けたものの見事不合格。そのときの面接官が大田先生。卒論に込めた私の思いだけじっくり聞いていただけた思い出があります。暮れにその半生を綴ったドキュメント映画を見ました。「かすかな光へ」と言うタイトルで谷川俊太郎の詩の朗読から始まります。 戦後の教育を、受ける側から冷静に見つめてきた純な姿勢が共感を呼びます。講演で語る言葉も分かりやすく、基本的人権の意味を生命のあり方から解きます。
・・生命は3つの特徴を持つ。ひとつは多様性。親子であってもDNAの構造がちがい、あくまでも独立した人格を持った個体であること。また生き物はすべて自らを新しく創りだす力、自己創出力を持っている。内発的に選びながら自らの個性・人格を創っていく能力を持っている。第3には他者とのかかわり合いの中で生きている。その関係性が生命体の存在様式である。・・ 「生命のきずな」(偕成社)より →お勧めです。
 この生命の観点から子育て・教育のあり方を問い直してみるのも早急の課題かもしれません。

◇後半年後に待っているアートイ展のテーマは「希望」。いつものように物語からテーマに関した作品を拾い出すのですが、なかなか思いつかず年越ししてしまいました。ようやく決めたのは「ピノッキオ」の冒険。せっかくゼベットじいさんに作ってもらったのに、いろいろな誘惑に負けてじいさんに迷惑ばかりかけます。それでもようやくコオロギの忠告を受け入れてじいさんの捕まったサメのお腹の中に。そして二人手を取り合って脱出します。これを作品にできるかまだ構想中ですが、参考までにむすび座の人形劇を見学しました。久しぶりに見ましたが、ディズニーアニメを越える展開に感動しました。そして、まずゼベットじいさんになったつもりでピノッキオ人形をデザインしました。
 これは孫のアーちゃんの誕生プレゼントも兼ねていますが、アーちゃんの「じーじ、また新しいおもちゃ考えたの」という甲高い電話の声が心地よかったです。 ◇新着おもちゃ、少し時間をかけて選んでみますので、もうしばらくお待ち下さい。

◆2月の予定    ひろば 5日&19日 工房 11日&25日

PS.賀状をいただいた方ありがとうございました。ご無礼とは思いましたが、新年号にて返信に代えさせてもらいました。