ひろば通信 13-09      
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   2013年8月29日(木)

 ◆◆9月の予定◆◆  変更しました!

   ひろば 15日(日) 29日(日)   工房  7日(土)  21日(土)

◇夏休みが終わりました。気づいたらいつも以上にイベントを挟んだため、あまりゆっくりできた気がしません。でもどのイベントも予想以上の参加があり、充実感に準備の苦労が報われました。

◇少しは涼しいかなと出かけた福島の暑さには参りました。毎年開かれている組み木のフェスティバルですが、汗だくの屋外糸のこ教室でした。飲み物を片手に、未就学の小さい子にも手を添えて線をたどらせます。いつか自分で挑戦してねと言う願いをこめて、いかにも本人が切ったように補助するのがコツですが、できあがった時の満足げな顔にホッとします。 地元の会員から、ここは除染したばかりと言う話も耳にしながら、たくさん来場してくれた福島の皆さんに支援に行った自分が逆に元気づけられました。

◇「風立ちぬ」を二回見に行きました。宮崎駿監督が泣いたと言う真意を知りたくて見直しましたが、ゼロ戦の設計うんぬんより二郎と菜穂子の短い絆のやりとりにジーンときました。あなたはどう見ましたか。
 二回見た映画がもう一本。ジョニー・ディップの「ローン・レンジャー」。かつてアメリカテレビ映画全盛の頃、テレビっ子の記憶に鮮明に残っている「キモサベ」と言う言葉と「ハイヨー、シルバー」と叫ぶかっこいい白馬のシーンの再現に心踊ります。久しぶりにワクワクしてしまいました。

◇久しぶりに組み立て恐竜の糸のこ教室をしました。場所は岡山の東粟倉おもちゃ村。廃屋になっていた現代玩具博物館の建物を改装して昨年オープンした施設です。この夏はその場所で創作玩具のフェスティバルが企画され、私も参加しました。以前日本おもちゃ会議主催で大規模なフェスティバルが開かれていましたが、いろいろな事情から途絶えていたところでの企画でしたので、とても深い思いがありました。
 天候が下り坂で入りが心配されましたが、リアルな恐竜にひかれた子どもたちがたくさん集まりました。うれしかったのは二日間入り浸って7種類全部作って行った家族がいたこと。家族全員でものづくりを楽しんでいるシーンはとてもいい感じでした。

◇おもしろ学校の後、夏のワークショップで二回、ミニハウスづくりと物語組み木のダブルメニューを続けました。特にミニハウスは、家具用の木片を事前に切り出すので、糸のこがフル回転。確かに準備がたいへんですが、同じ材料を使っても個性的な作品が生まれますので、いちばんワークショップに適しているかもしれません。

◇ほとんどワークショップの準備が中心の夏の工房時間でしたが、仕事が一段落した後、ふっと思いついたのが、「ビー玉迷路?」
 たまたま組み木教室のときに使う10cm×10cmのカツラ板を何か利用できないかなと浮かんだものです。いくつか試作してみましたが、透明のアクリル板でビー玉が見える所と音が快いので、赤ちゃんをあやすのにも使えないかなと期待しています。厚みや大きさ、コースなどまだまだ改良できそうなので、しばらくこだわってみます。

◇「ビブリア古書堂の事件手帖」はやはりベストセラー小説ですね。店長の栞子のたどたどしさが本のことになるとスイッチが切り替わるワンパターンの中に、人生模様がちりばめられています。本好きの心をうまくつかむ演出が心憎いです。
 百田尚樹の「夢を売る男」も出版界の裏話をリアルにおちょくりながら、最後まで読ませる展開はさすが。その百田さんがラジオ番組で薦めていた「漂流」も読み応えがありました。はじめて読んだ吉村昭の作品ですが、苦手な歴史小説(漢字が多過ぎるので)の違和感がなくなりました。
 無人島に流れ着いた江戸時代の商人が壮絶な生き様を繰り返し、やがて本土に帰り着くまでを克明に描いてあります。

◇おもちゃ村のワークショップはアーちゃんも参加。はじめての恐竜づくりなので、もう少し手がかかるだろうと思いきや、ほとんどひとりで仕上げ、つい孫自慢。3年生でも繰り返せば糸のこが使えることを、例の恐竜一家とともに実感しました。
 翌日は岡山で、二人で留守番。学童をやめて祖父との一日を選んだそうです。赤ん坊のときからのつきあいですが、3年生の女の子ともなると今時の携帯ゲームやコミック漫画も生活の一部。でも、その日はまず、タトゥシールづくりから。パソコンに取り込んだ画像を専用シールにプリントすればできあがるのですが、予想外の展開にあたふた。たぶん彼女はジージは何でもかなえてくれると勘違いしている節がありますが、何とか顔にかわいいシールが貼れると大満足。続いていつものように、ふたりでお好み焼きづくり。キャベツや肉を切り、粉を溶かして本人が焼いたのは一枚だけ。後はこちらが執事の立場。午後は宿題の作文指導、さかあがり練習と元教師の経験を生かし、読書、漫画タイム。最後は買って来た花の苗をプランターに寄せ植え。夏休みの一日、けっこう充実していました。

◇少し前に見た「じんじん」という作品はぜひ見てほしい映画です。大道芸人の銀三郎には、別れた妻との間にひとり娘がいます。毎晩、絵本やお話を聞かせますが、ある時自分から姿を消します。数年後再会の機会に中断したお話の続きを一冊の絵本にしたためます。じーんときますよ。写真の絵本がそれです。

◇谷川俊太郎の有名な詩「生きる」が絵本になりました。福音館の月刊「たくさんのふしぎ」の一冊です。このシリーズは科学を中心に多岐に渡る分野を分かりやすく構成してあるので、これまでずいぶん助けられてきました。コレクションもたくさんありますが、これもその仲間入りです。
 詩の一節々々を夏の風景の中にとじこめ、さらに味わい深い内容になっています。夏の思い出にいいかも。
  

 生きる   谷川俊太郎

 生きているということ
 いま生きているということ  

 それはのどがかわくということ
 木漏れ日がまぶしいということ
 ふっと或るメロディを思い出すということ
 くしゃみをすること  
 あなたと手をつなぐこと  

 生きているということ
 いま生きているということ

 それはミニスカート
 それはプラネタリウム
 それはヨハン・シュトラウス
 それはピカソ
 それはアルプス  

 すべての美しいものに出会うということ

 そして  かくされた悪を注意深くこばむこと  

 生きているということ
 いま生きているということ

 泣けるということ
 笑えるということ
 怒れるということ  

 自由ということ  

 生きているということ
 いま生きているということ

 いま遠くで犬が吠えるということ
 いま地球が廻っているということ
 いまどこかで産声があがるということ
 いまどこかで兵士が傷つくということ
 いまぶらんこがゆれているということ
 いまいまがすぎてゆくこと

 生きているということ
 いま生きているということ

 鳥ははばたくということ
 海はとどろくということ
 かたつむりははうということ

 人は愛するということ

 あなたの手のぬくみ

 いのちということ

 ◆◆10月の予定◆◆ 

   ひろば 6日(日) 20日(日)   工房 12日(土)  26日(土)