ひろば通信 19-11             

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   2019年10月29日(火)

◆◆11月の予定◆◆ ・ひろば 3日(日)、16日(土) 変更しました。
           ・工房  9日(土)、30日(土)
           ・秋の特別工作教室 24日(日)

◇秋晴れで気持ちのいい日があるかと思えば、大型台風が続け様に到来したりして、秋の気まぐれが甚だしい年になりました。めげずに球根を植え、雨にやられた種もまき直したりしています。
 最近よく利用する園芸店が閉店したため、苗の入手先に困り結局ネット通販の利用。写真でしか判断できないので、箱を開けてがっかりすることも。手軽すぎると反動もこわいですね。

◇先月は、大きなイベントが終わったこともあり、いったん創作活動を休憩して、これまでストックしてあったおもちゃテキストを基に「おもちゃ自主研修」をすることにしました。今さら何をという感じですが、私がこれまでおもちゃづくりを続けて来られたのも、いろいろな先輩たちがまわりにいたことが大きな支えになっています。小黒さんの動物組み木に出会い、糸のこの操作を覚えオリジナル作品ができかけた頃、小黒さんから「日本おもちゃ会議」への入会を進められました。その会議には当時雑誌でしか知らなかった著名なおもちゃ作家たちが集合していました。厚顔にも一緒に会議に出たり、イベントで作品を並べたりするうち、何となく人柄と作品は共通するものがあるなと感じていました。駆け出しの私にいろいろアドバイスをいただき、オリジナルに徹しなさいと進言してくれました。
 その後の流れはまた改めて振り返ることにして今回は手元のテキストを見ながら先輩たちの技をたどってみることにしました。

◇まず挑戦したのは加藤裕三さん。長くグリコのおまけをデザインしてきた方で、小黒さんといっしょに組み木の会社「遊プラン」を立ち上げました。残念ながら若くして亡くなってしまいましたが、辛口のアドバイスが忘れられません。たまたま歩くゴリラの図面が掲載されていましたので、さっそく試作してみました。加藤さんもおまけが製品化される前には木で試作されていたそうです。腕をのばして歩く曲面と体の中に挿入したおもりの加減がポイントのようで、3体作ってようやく1体だけ歩きました。よく見るとご本人にそっくりです。
 つぎは室井忠夫さんのパズル。かっこいいペガサスが3つに分解できます。図面通りにかなり正確に部品は切れましたが、いざ組み立てながら接着すると微妙に不具合が生じます。ここは紙ヤスリでがまんの微調整。木工につきものの作業です。 かつて「ほのぼの先生」の拙著にすてきな感想を送ってくれたことを思い出します。
 さて、西田明夫さんのからくりは、これまで図面を見ただけで腰が引けていました。欧米にもファンが多いからくり作家のパイオニアですが、きちんと図面を公開されていますので、後継者を期待していたのかもしれません。思い切って挑戦してみました。何と3種類全部何とか動いてくれました。細いヒゴの長さやベルトやバネの強さなど手探りしながらの挑戦。やりがいがありました。
 いっしょにテレビに出演した中井秀樹さんの作品は、以前キットをいただいていたのでテレビのテキストを見ながら完 成させました。分かり やすいからくりの仕組 みが勉強になります。
 キットつながりで、 これも購入したままだ った「歩くウマ」も作 りました。4本足でト コトコ歩きます。足のカーブとおもりの加減がよく計算されています。
 最後は島添昭義さんのユーモラスからくり。カニを模したおもちゃですが、ちょっと大振りでしたので、半分のサイズで作り直しました。可動部分は釘打ちなので穴の大きさに慣れず怪しい動きになりました。
 その他にもいくつか作りましたが、技やデザインはその作家独特のものがあります。こうした研修をすることで、よりいっそう自分の個性を追究できるのかもしれません。

◇新聞の訃報欄に教育哲学者の上田薫さんの名前を見つけました。学生時代、彼の著作をベースに卒論をまとめさせてもらいましたが、直に教えを乞う前に他の大学に去ってしまいました。自分の主義と大学の方針が合わないようで主義を通されました。そんな譲らない精神は著作からも感じられ、思えば現役時代の自分の支援教育の実践にも通じるものがあったかもしれません。合掌。

◇期待せずに見た「蜜蜂と遠雷」は役者たちの熱演に圧倒されました。原作は読んでいても耳の中でピアノが鳴っているような心地よい雰囲気の小説で、とても映像では表現できないだろうと思っていましたが、どっこい実写ならではの演奏シーンをダイナミックに表現することで、原作の雰囲気をかもし出していました。

◇「月と蟹」は道尾秀介の直木賞受賞作。子どもが主人公ということで読んでみましたが、ヤドカリをもてあそびながら、子ども同士の内面の複雑さや親を見る目を子どもの視点から的確に表現しています。よく子どもの心が分かるなと感心しました。

◇引退宣言された小黒三郎さんですが、しっかりと絵本第2弾を発行されました。
「クマのアボくん」というクマの親子のお話ですが、少し悲しい展開になっています。ご自分の引退と関係していないか複雑です。

□秋の特別工作教室のお知らせ  
科学館での遠藤裕さんの個展(11/2〜10 土日祭日は工作教室あり)に合わせて、講師に迎え工作教室を企画しました。ふるって参加ください。
◎遠藤裕さん紹介 初代木のおもちゃ職人チャンピオン 小田原在住 最近は加藤清克デザインの作品も制作
・日にち  11月24日(日)
・午前の部 10:00〜12:00  〈ベルサンタ〉
  ○材料費 2000円 ○対象 低学年から (なるべく大人同伴)
・午後の部 2:00〜4:00  〈長靴をはいたネコ〉
 ○材料費 3000円 ○対象 小学3年生以上 (なるべく大人同伴) 
 ○もちもの どちらも室内履きのみ持参
 ○申し込み方法  どちらも定員10名まで
  先着順 メールかFAXでひろばまで(氏名、年齢、引率者、連絡先記入)

◆◆12月の予定◆◆ ・ひろば 1日(日)、15日(日)
           ・工房  21日(土)
           ・一日おもしろ学校ごっこ 7日(土) (11/1より受付開始)