ひろば通信 21-03             

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    2021年3月2日(火)


   ◆◆3月の予定◆◆
・ひろば 7日(日)、21日(日) ・工房 13日(土)、27日(土)

◇先日いただいたミモザの小枝で、リースを作ってみました。黄色い花が春を呼んでいるようです。  
 3月の声を聞くと、何だか体が軽くなったような気がするのはどうしてでしょう。梅も満開になり、あちこちで新芽が吹き出てくるせいでしょうか。年をとってますます自然のサイクルと体がなじんできたのかと勝手に解釈しています。
 当然園芸にも身が入ります。まず、昨年あまり収穫できなかったミニ畑を掘り起こしました。30センチを目標に耕しましたが、次から次と根っこが出てきます。これでは育たないはずです。根っこを全部取り除き、ビニールシートでシャットアウトして土を入れ替えました。今度こそ期待します。

◇月代わりにカレンダーの入れ替えでうれしいのが、最近見つけた林明子さんの卓上カレンダー。 
 月ごとに立体のペーパークラフトになっています。10年以上前の付録ですが、大切に取ってありました。いつかもういちど彼女の新作絵本が見られることを願って飾っています。先月の安野光雅さんと同様彼女の作品も全部手元にあるはずですが、ふと有名な「こんとあき」がないことに気づきました。ぬいぐるみのキツネとおばあちゃんのいる田舎に出かけます。絵本好きな娘のところにあるかもしれません。ポチッと押して購入しました。

◇遊園地シリーズを作ったのは、このひろばが始まった頃。勤務先の支援学級がとても楽しく、教室に遊びにくる子どもたちをモデルに、彼らが遊ぶ遊具を創作していきました。公園の遊具に始まり、しまいにはテーマパークにある大型遊具にも挑戦しました。ただ、どれも遊ぶ子ども人形の大きさに合わせて設計していきましたので、かなり大振りな作品になりました。友人たちと開いた名古屋市科学館の展示会にずらりと並べたこともあります。勤務先では作品展のとき、体育館の一角を使わせてもらいました。
 そんな思い出の作品ですが、工房やひろばの狭い空間にはとても並べきれないので、ミニサイズに作り直しています。前に紹介したメリーゴーランドやジェットコースターもその一貫です。今回は飛行塔と観覧車、バイキングを仕上げました。大振りの時は動きが悪かった作品も逆にスムースに動くようになり、ミニサイズもいいもんだと納得しました。そのうちひろば遊園地が実現しそうです。

◇今工房に置いてある「キッチンセット」もこの支援学級時代にできた作品。ままごと好きな女の子のために考案しました。ねらいはセットがひとつにまとまり、持ち運びが容易になること。テーブルまで含まれています。苦労したのは包丁で切る雰囲気をどう出すかで、マジックテープの作品はすでに製品化されていたので、しかたなく丸棒でゆるく連結しました。
 台所用品もそれらしく全部そろえたつもりでいましたが、先日遊んでいた子から「お玉はないの」と言われ、はたと気づきました。糸のこで切り出すだけの発想ではお玉は完全抜けていました。そこで丸く切った円盤を重ねてそれらしく仕上げてみました。何とかなるものですね。

◇先月は南図書館の機織り教室が実現しました。コロナ禍ですが、感染対策に気をつけながら、午前・午後とも6人ずつの熱心な子どもたちで充実した時間が過ごせました。話しもよく聞いてくれ、いつもだと途中仕上がりなってしまうのが、ほとんど完成までたどりつき、感心しました。おまけはそこでひろばを紹介したら、さっそく参加者の親子が訪問してくれたこと。工房で糸のこにも挑戦しました。こんなつながりがうれしいですね。

◇前から作りたかった先輩作家の作品「はばたくモビール」を試作してみました。試作と書いたのは、まだ未完成ということ。構造は単純ですが、つばさのバランスを取るのが難しく、ヒートンの位置のわずかなずれで狂ってしまいます。優雅さは表現できましたが、後一歩です。

◇長く愛用してきたわが家のブラウン管テレビがいよいよ寿命が来たらしく、映りが悪くなりました。昔黒猫を飼っていたとき、昼寝場所として気持ちよくベッド変わりにしていたので、つい買いそびれていました。新しいテレビはせっかくなのでネットにもつなげて利用しています。今までスマホの小さな画面で見ていたのが普通にテレビで見られるのでウキウキ。ますます映画にハマりそうです。でも、〈映画は映画館で〉をモットーにしているのでそこは少々セーブしています。

◇その映画館でお薦めの作品をいくつか見ました。まずは珍しいデンマーク映画「わたしと叔父さん」。 
  静かな牧場で暮らす娘とその叔父さん。娘は幼い頃両親を亡くし、叔父さんに引き取られますが、進学を予定していた時叔父さんが倒れます。その後進学をあきらめ、酪農の仕事を手伝うことになります。その淡々とした毎日が画面のほとんどを占めます。監督は小津安二郎を尊敬しているらしく、日常の何気ない描写を大事にしています。介護をしながら、牧場の仕事に邁進しますが、覚悟を決めたさりげない表情がとてもさわやかでした。
 続いては評判の「すばらしき世界」。13年の刑期を終え、社会に復帰してきたある男のたどるいばらのような道が見るものの胸を締めつけます。短気ですぐカッとなってしまう性格を押さえつつ、でも見過ごせない怒りのやり場に葛藤する男を役所広司がものすごい迫力で演じます。西川美和監督の作品はどれも人間の本質の切り取るするどいまなざしを向けていますが、これほど分かりやすい人間像はなかったかもしれません。
 最後は「モンテッソーリ 子どもの家」元教育者としては見ておかなくてはという義務感もあり、のぞいてきました。モンテッソーリは学生時代からその名を知っていた有名な教育学者で、支援学級の仕事の時も、彼女の考案した教具を参考に自分の教材づくりに使わせてもらっていました。ただ、実際の教室は見たこともなく、それはそれは新鮮でした。2歳から6歳の子どもが通うフランスの幼稚園が舞台。クラス分けもなく、小さい子は大きい子のすることを間近に見ながら、所作を覚えていきます。決まったカリキュラムがあるわけではなく、子どもは自分で決めた「仕事」に取り組みます。基本的に大人は手を出しません。子どもはけっして「小さな大人」ではなく、自由な意思を持つ社会の一員であることを再認識させてくれます。

◇小川洋子の「密やかな結晶」(新装版)を読み直しました。というのは手元にはないのですが、確かに読んだ記憶があったのです。幸い細部は忘れているので、また新鮮に楽しみました。中味も島にある物の記憶がだんだん失われていくミステリアスなストーリー。ゲシュタボを思い起こす記憶狩りも登場して小川劇場満載です。

◇今年も飾りました。デザインした小黒三郎さんはすでに引退されて鎌倉で静養されていますが、発表された図面は工房でも新しいファンを増やし続けています。ご長命をお祈りします。



◆◆4月の予定◆◆ ・ひろば 4日(日)、18日(日) ・工房 10日(土)、24日(土)

※卒業・入学の時期。もしひろば通信を一区切りされる方はご一報ください。(HPで見られます。)