ひろば通信 21-11             

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    2021年10月29日(金)

        
  ◆◆11月の予定◆◆
    ・ひろば 14日(日)、21日(日) ・工房 13日(土)、27日(土)


◇やっと秋らしい気候になりました。雲がきれいですね。朝ドラの影響でつい写真を撮ってしまいます。
 いつのまにか政治の季節。まもなく新しい政治体制が決まります。「たかが一票されど一票」とはよく言ったものです。誰にでも公平に割り与えられた権利を行使しない手はありません。全世界的なコロナ感染や気候変動について明確な見解が聞けないのはさびしいですが、せめて消去法でよりましな方向を選びたいと思っています。

◇何を思ってか、キジバトが庭木の中に巣作りを始めました。まだ枝を運んでいる状態ですが、もしも産卵すれば一大事。この時期で大丈夫かなと思いますが、とても楽しみです。キジバトとは担任時代とても思い出があり、私の最初のオリジナル組み木になったモデルでもありますので、思い入れは格別です。もういちどモデルにしようかな。

◇からくり玩具に挑戦しています。手元に江戸時代の作品を復元したテキストがあるので、もっと早く作っていればと後悔しています。それにしても400年前のあの時代に子どもたちに向けた楽しいおもちゃをたくさん作り出していたことに驚きです。さらにはぜんまい仕掛けなど精巧なからくりで庶民を驚かせていた作品もあります。平和で豊かな時代が想像できます。
 最初に作ったのは、かわいいネズミがくるくる回る「廻り鼠」。竹のかわりに手元にたくさんあるシナベニヤを使い、ネズミは最近入手したバルサの板で加工しました。柔らかいので自在に加工できるのがミソです。
 続いては「猫と鼠」。昔からひろばにあるメキシコ産のびっくりおもちゃと同じ仕掛け。こういう仕掛けも海を渡って伝わるのかロマンを感じます。 なるべく手引きノコなど昔からある道具で作るようにアドバイスがありますが、そこは糸ノコ遣いなので勘弁してもらっています。

 3作目でつまずきました。「鯉の滝のぼり」という作品で鯉が滝を昇りきると龍に変身する言い伝えが元。鯉のえらが開くところや凧糸にたくさん結び目を作ることなど細かい作業がたくさんあります。スムースな動きができるまでまだ試作が続きます。
 自作は無理だと思い、ついキット作品も購入してしまいました。有名な「茶運び人形」です。学研の「大人の科学」シリーズの中にあります。それこそ気が遠くなる細かい部品がたくさんセットされています。昔細かいプラモデルに挑戦していた頃を思い出しました。とにかく順番にていねいに作業していきます。時々部品がころがって行方不明になりかけましたが、何とか機械部分は完成。何とぜんまいを巻くと説明書通りに動くではありませんか。茶碗がスイッチ変わりで、乗せると動き出します。おじきをしながら回って動き、茶碗を取ると止まります。動きに感動していましたが、たいへんだったのはここから。和紙を型通りに切って、着物を仕上げていきます。折り紙少年としては簡単な作業と思いきや、ふくらみを持たせたり、えりを整えたり、慣れない作業で四苦八苦。とても貴重な作品になりました。

◇合板生き物のリクエストも続きます。「クロノサウルス」という白亜紀の海凄爬虫類。聞いたことがなかったのでさっそくスマホで検索。ちょうどスマホも機種変更したばかりなので、さくさく動きます。有名なモササウルスと似ているので、違いを強調しました。四本のひれが長いのが特長。次の宿題は何が出るかドキドキです。

◇読書の秋にちなんで、絵本をたくさん紹介します。まず五味太郎さんの「ひよこはにげます」。 「きんぎょがにげた」を彷彿とさせる展開。ちょっとしたひよこたちの冒険がかわいいです。つぎは「街どろぼう」。作者はjunaida。そうあの「の」という作品の作者。こんどはどんなしかけがあるか楽しみで購入しました。山に住むさびしい巨人が街に降りていって家を山に運びます。そして親戚の家も運んでくれるように頼まれます。そんなふうにどんどん山に家がふえますがさびしさは変わりません。さてというお話。ちょっと大人向き?
 「へいわとせんそう」は前から気になっていた絵本。知り合いからいだきましたが、たにかわしゅんたろうさんの簡潔なことばが、奥深い意味を与えます。どれだけのことばが隠されているか読み手が問われます。新聞記事で見た「まっくろ」は久しぶりにジーンと来る内容です。図工の課題にひたすら画用紙をまっくろにぬりつぶすおとこのこ。家に帰ってもまだ描き続けます。さて、この子は何を描きたかったのでしょうか。 「のっぽのスイブル155」も新聞で見た絵本。スイブルは水陸両用のブルドーザーですが、しばらく仕事はお休みでした。それが東日本大震災の後、こわれた橋桁などの修繕のため復活。部品も新品になりすっかりリニューアル。頼もしく働きます。はたらくくるまをたくさん作って来た私としては新しい作品課題に出会った気がしました。

◇絵本以外の本も紹介します。まず「センス・オブ・ワンダー」。「沈黙の春」と並んでレイチェル・カーソンの地球環境を考えるバイブル。孫と海辺や森林を散歩しながら、子どもの中に眠ってるセンチ・オブ・ワンダーを揺り起こします。芽吹きやきのこ、海の香り、木々のゆらす音など感性をとぎすます瞬間がどなたにもあったはず。もういちど取り戻したいものです。
 「国境なき医師団を見に行く」は、いとうせいこうさんの体験レポート。ハイチ、ギリシャ、ウガンダなど医師団が実際に働く現場に密着しながら、医師たちの言葉を引き出していきます。政治や戦争に翻弄された人々たちに寄り添いながら、その上で彼らの力で医療の保障を築き上げられるように援助していきます。世の中にこういう人たちがいることが救いです。

 ようやく読み終わったのが「生物と無生物とのあいだ」。福岡伸一さんのベストセラーで、評判がいいので簡単に読めると思いきや、DNAやタンパク質のからくりの話に進むと頭がついていかず何度も挫折。三度目の正直で何とか乗り切りました。「動的平衡」というキーワードがぼんやりと生命の定義に重要だと理解しました。

◇映画も紹介します。
 名駅のシネマスコーレで上映中なのは「屋根の上に吹く風は」。いきなり子どもたちが屋根の上から飛び降りる映像から始まります。ここは鳥取にある新田サドベリースクールというフリースクール。授業時間もスタッフの待遇も約束事もすべて子どもたちが中心になって決めていきます。「自由はけっこう苦しい」という正直な子どもの声も含めて、辛抱強いスタッフの迷いながら子どもと付き合っている姿が心を打ちます。応援していきたい学校です。
 「ミナマタ」はジョニー・デップの演技が光ります。ユージン・スミスという実在のカメラマンをとても自然体で演じます。かつて病気の子をお風呂に入れるシーンの写真に衝撃を受けた記憶がありますが、その撮影がラストを飾ります。エンディングでは、水俣だけでなく世界中で公害問題に悩む人たちの何と多いことに気付かされて愕然とします。必見です。
 「グレタ」も良質なドキュメントでした。ひとりで始めた学校ストライキに世界中の若者たちが共感を示して気象変動問題のヒーローになります。しかし、政治は動きません。絶望を感じながらも現在もストライキを続けているそうです。最後にぼそっと「みんな少しずつアスペルガーになればいいのに」とつぶやきます。妙に共感してしまいました。
 

 ◆◆12月の予定◆◆
 ・ひろば 5日(日)、19日(日) ・工房 11日(土) 要予約
 ・おもしろ学校ごっこ 18日(土)