ひろば通信 22-05             

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    2022年5月2日(月)


◆◆5月の予定◆◆ ・ひろば 8日(日)、22日(日)
・工房 14日(土)、28日(土)
(5/1AM9:00よりおもしろ学校の受付開始)

◇さっそく「おもしろ学校」の受付が始まりました。前回までの殺到状況を鑑みて、今回は抽選にしましたので、ひろば関係の皆さんも関心のある方はぜひ申し込んでください。このイベント、スタッフも高齢化していますので、いつまで開催できるか未知数ですが、オリジナル授業にこだわる気持ちは枯れていないようなのでもうしばらく期待してください。 ◇小さな畑を掘り起こしてずいぶん前に準備していましたが、ようやく夏野菜の苗を購入して植えつけました。昨年はキュウリの実がついても途中から黄ばんできて、トマトやナスもほとんど収穫できなかったので、どこまでリベンジできるかまずはいい苗探しからと、見つかるので待っていたのです。何年世話して来てもこの植物の世界、まったく運試しみたいなところがあり、それがおもしろいのかもしれません。昨年秋から育てているタマネギがもうすぐ収穫できるので、今年のいい兆候かと思いきや、せっかくきれいに咲いていた梅の実がぜんぜんつかなくてがっかり。また運に試されています。
◇すでにアジサイにつぼみがついて来て、庭木も新緑に満ちてきましたが、その中にしっかりと冬を乗り越え、かわいい花を咲かせ始めたのはベルフラワーとナスタチューム。クンシランも玄関を飾っています。とにかくいい季節になりました。
◇「田島征三展-アートの冒険」に行ってきました。会場は刈谷市美術館で全館田島征三の作品で埋めつくされていました。田島さんとは40年以上前、宇宙船地球号という不思議な工房集団に通っていた時からの知り合いで(ご本人はあまり記憶がないかも)、その絵本のファンでもありました。長女に読み聞かせていた「ふきまんぶく」もサインしていただいています。長女はこの絵本が大好きで、ふきちゃんがふきの葉を滑り降りる場面で、自分も絵本にまたがり葉の上をすべるマネをしていました。その原画も展示されています。「しばてん」などの初期の作品から、最近作まですべて網羅されています。中でも学生時代の作品があり、教授からダメだしされたエピソードがありますが、その後の作品への片鱗が伺え貴重な作品に思えました。6月12日まで開催されていますので、ぜひお出かけ下さい。
◇工房通いのサメ好きな少年から久しぶりのリクエスト。ただ、かなりマニアックな選択なのでネット頼みです。今回は「ニシオンデンザメ」という聞いたこともないサメ。調べれば図体の割にのんびり泳ぐ肥満系のサメらしく、ユーモラスらしさが気に入りました。例のパターンで仕上げてみました。
◇今月はアートイ展作品の仕上げとおもしろ学校の材料準備に追われそうですが、地下のひろばの本がかなりあふれて来たので、とりあえずまた可動式の本棚を作るつもりです。本の整理の方が大切かもしれませんが、なかなか処分する気にならず増える一方です。「いつか」というのはあてにならないらしいですが、限界までおつきあいください。
◇その本の紹介ですが、まず前号で紹介した作品をほとんど読了しましたので、その感想から始めます。
 上橋さんの「香君」は宣伝通り過去作品に並ぶかもしれません。香りに人一倍敏感な姫が国の行く末を左右するような立場に置かれ、帝国の策略と穀物の異常状況のはざまで、知恵を出し尽くし、人々を動かしていく過程が読みやすい筆力で描かれていきます。
 文庫になったら読もうと思っていたのが「流浪の月」。本屋大賞を取っている作品はほぼまちがいなくおもしろい内容ですが、少し重たそうなのでためらっていました。案の定ずっしりくる展開。父母に捨てられ、伯母宅でつらい目に合い、出会った青年と意気投合するも「事件」に発展。何年か経ち、新しい恋人との関係もぎくしゃく。きつい場面もありながら、読ませてしまうのは立場を変えながら心理描写を語る展開が絶妙なところ。人のつながりの奥深さを教えられます。映画化が楽しみなような怖いような複雑な心境です。
「まぐだら屋のマリア」はまたまた原田マハ作品。今回は美術小説ではなく、背景にはおいしい和食メニューが並びます。書き出しは訳ありの料理人が最果てのバス停で降り、ひなびた料理店にたどりつくところから物語が始まります。何だかほのぼのとした小説だなと思いきや、登場人物のそれぞれの秘密が明かされるうちに思わぬドラマチックな中味に変身します。まだ映画化の話は出ていませんが、つい配役を考えてしまいます。
◇読み進めるのがつらかった「同志少女よ敵を撃て」は、まさに独ソ戦が舞台の戦記物。今書店で山積みになっているのでいやでも目に入りますが、現実の戦争と70年前の戦いがちっとも変わっていないことに愕然とします。家族と村を抹殺された少女が復習を誓い、有能な狙撃手に成長していきますが、真の敵は別のところにいました。兵士たちの本音に近い言葉や戦いのリアルな展開にまるで戦場にいるような気分にさせられます。プーチンに読ませたらどんな感想をつぶやくか聞いてみたいものです。
◇映画も紹介します。アカデミー賞を取った「コーダ-愛の歌」は、聾者の演技がすばらしかったです。私が難聴のお子さんを指導していた頃は聾学校でも手話厳禁の時代で、口の形を読んで理解する口話教育が主流でした。今思えば手話と併用してもっとゆったりとした会話を楽しむ教育なら、救われた聴覚障害の子がいたのかもしれません。 家族の中でひとり健聴者の女の子は歌が大好き。ついに進学を決めた音楽学校の試験の曲は”Both Sides Now”(青春の光と影)。ひそかに聞く両親のために手話を使って歌います。この子にももっと早くこれをやってほしかったです。
「カモン、カモン」も評判どおりおすすめできる映画でした。独り者のおじさんが幼い甥っ子の世話をすることになり、てんやわんや。預けた妹は夫の精神的な病の看病に出かけます。その息子は不安定な家庭の中で、自分の世界をしっかり持っているのでなかなか手強い性格。おじさんは子どもたちにインタビューする仕事を本業としており、 話の展開の中でそのインタビュー場面が挟まり、うまくリンクしていきます。登場人物の背景も少しずつ挟み込まれ、おじさんと甥っ子との関係の深まりと挟み込まれた内容との絶妙なバランスが秀逸です。ぜひご覧下さい。
◇この通信ではずっとふせてきましたが、じつは「ゴールデンカムイ」という漫画のファンでした。時代は明治。アイヌ出身の少女アシリパが主人公で隠された金塊を探し出してアイヌの復興を目論むストーリーですが、五稜郭で亡くなったはずの土方歳三が出て来たり、樺太から思わぬ助っ人が来たりとわくわくする展開で単行本を楽しんできました。アイヌの自然を大事にする文化にも触れることができ勉強にもなりますが、子どもが読むにはちょっときつい場面も登場するので紹介しませんでした。その物語がいよいよ完結しました。全31巻になるはずですが、一応全巻そろっています。(最終巻は7月発売)ご希望の方には貸し出しますのでご利用ください。
  

◆◆6月の予定◆◆
・ひろば 5日(日) ・工房 11日(土)
・アートイ展 6/14〜19
・一日おもしろ学校ごっこ 25日(土)