ひろば通信 22-12             

・発行 おもちゃのひろば  
・TEL&FAX 052-834-1986                                 
・Email toyhiroba@mediacat.ne.jp
・HP http://toyhiroba.raindrop.jp/
    2022年12月1日(木)


◆◆12月の予定◆◆
・ひろば 4日(日)、18日(日)
・工房 10日(土)、17日(土) ・おもしろ学校ごっこ3日(土)


◇刻一刻と冬が近づいているようですが、夏の花ハイビスカスはまだ頑張って咲き続けています。気温が低いせいかふだんは一日花なのに、2日も持ちこたえています。植物の対応力にも感心しますが、最近毎年咲いてくれるヒメヒイラギの花が今年も咲きました。白い小さな花が緑の葉の間に咲き誇り、まるで初雪が降ったようです。やはり冬の訪れを教えてくれているのかな。
◇先月アートピアのワークショップを開催することができました。秋に予定を決めてから3年ぶりの開催です。コロナの感染が決して減っているわけではないので不安でしたが、定員も減らし、午前・午後に分けるなど工夫して乗り切りました。前は常連さんもいましたが、3年も空くとやはり出直しの状況。この子たちが来年へとつないでくれることを祈ります。  私の講座はまた「ミニハウス」でしたが、今年のアートイ展でたくさん新作家具、遊具が増えましたので、サンプルであふれていました。当然動く遊具に挑戦する子もいて、とても充実した時間になりました。なにげにどんな家にしたのと聞くと、きちんとストーリーがあるようなので、今後できれば人形たちも加えてあげたいなと思いました。
◇続いてまもなく「おもしろ学校ごっこ」があります。今回も申し込みが殺到すると思いきや、定員に満たない状況で拍子抜け。まだコロナを心配されているのかもしれません。それでも材料の準備は怠れません。半日にした関係で授業時間も短く、ものづくりを楽しんでもらうにはキットにするしかありません。「魚釣りセット」なのでリールやつり糸に下げる金具などは作りおきにして、簡単に取り付けられるようにしました。子どもたちには好きな魚を選んで色塗りを楽しんでもらうことにします。その魚に取り付ける針も用意しました。時間との勝負です。
◇毎回紹介しているみたいですが、工房でのリクエストに応えて新種の恐竜が増え続けています。今回は「バリオニクス」というスピノサウルス科の仲間。見逃していましたが、ジュラシックワールドにも登場しています。ワニのような形の頭部で魚が主食だったようです。子どもたちの様子を見ていると出来上がった作品で口、手足を動かしてその気になって遊んでいるので、細かいところがポイントになります。後はしっかり立つバランスも大事。これまでのデザインの見直しが迫られているようです。
◇ついでにずっと眠っていた魚のデザインも掘り起こしました。ラフのままだった「ハリセンボン」を清書して、予定どおり爪楊枝の先を使って針にしました。残った爪楊枝を捨てるのは忍びなく、削って針を作り使いましたが、えらく手間のかかる作業になってしまいました。ただ、けっこうそれらしくなり自己満足です。
◇さて、この生き物シリーズですが、これまでの作品を並べると相当の数になります。そこでふと思いついたのは、来年のアートイ展のお題「さわやか」にひっかけて、生き物はみんな「さわやか」だろうとこじつけて、どっと並べることにしました。ただ、スペースは限られているので、どうしぼるかこれからゆっくり考えていきます。
◇これまで教え子の訃報はほとんど聞いたことがありませんでしたが、ついに来てしまいました。ちーくんというダウン症のお子さんで、小学校の入学から卒業まで丸々6年間お世話した数少ない子のひとりです。彼のエピソードは本(「ほのぼの先生とちいさななかまたち」)にも詳しく書いたので省きますが、本当に天使のようなお子さんでした。休み時間教室に遊びにくる子は、ちーくんの投げるボールを必死に取りあい、渡してはまた取りに駆け回るという遊びをくり返していました。廊下ですれちがった教務主任の先生には「ボ!(おんぶして)」と言っておばれたまま教室に戻ってきます。ちーくんともうひとりのりえちゃんの二人だけの年がありました。朝は決まって谷川俊太郎さんの絵本「もこもこもこ」の読み聞かせから始まります。ふたりとも言葉は少ないですが、絵本に合わせて「ぷー!」だの「もこ!」だの「ふんわふんわ!」と元気な声が教室に響きます。学芸会の出し物はふたりを「ぐりとぐら」にして、募集した子どもたちにたくさんの動物になってもらい「おおきなかすてら」をつくる劇ができあがりました。あるとき教室に遊びにきた子に「ちーくんはどんなふうになったらいいかな」と聞いたら「このままでいいよ」とあっさり応えてくれました。教師の立場だと何とか少しでも力をつけてもらいたいといろいろ試行錯誤するのですが、ともするとそれはその子のためではなく、教師の指導力を評価してもらいたいという裏の欲求になっていることがあるかもしれません。ちーくんにはそんな気持ちを見透かす不思議な力を感じました。私のかけがえのない先生です。冥福を祈ります。
◇ジブリパークが開園されましたが、当分行けそうにありません。そんな気持ちを見透かされたか、かわいいネコバスのおもちゃが発売されました。迷いましたが、すぐクリック。案の定売り切れ。他を探すと倍以上の価格。誘惑に負けて購入。でも物はとてもかわいく、触っていても心地いい感触です。そこでそれに見合うおもちゃにしようといくつかしかけを試作してみました。ひろばに置きますが、何かひろばの主旨が変わってきた気配。要注意です。
◇大人気の「すずめの戸締まり」を見てきました。これまでになく感動してしまいました。新海誠監督の作品はほとんど見ていますが、いちばんいいと思いました。冒頭から戸締まり騒動が始まり、閉じ師の草太とともに扉を閉める行動に邁進します。今朝ドラでやっている「舞いあがれ」の舞もそうですが、少し頼りなさそうな女の子が一生懸命になる姿はどうしてもウルッと来てしまいます。ストーリーには東日本大震災もかぶっており、忘れてはいけない記憶を掘り起こしてくれます。
 「天間荘の三姉妹」もその震災がベースになっており、天界と地上との中間にある世界で、自分が生きていくことはどういうことか答えを探し出していきます。生死が分けられていく非情さがありますが、自分で選択しているところに救いがありました。
◇ひろばで強く薦められた本が「雲を紡ぐ」。はじめて読む伊吹有喜の作品。読み進むうち、これは私のために書かれた小説ではないかと思えてきました。不登校になった女子高生が両親の対応に嫌気がさし、岩手の祖父のところへ逃げ出します。そこは羊毛から糸を紡ぎ、ショールなどを作る工芸館。おじいさんの対応がすばらしく主人公の心が徐々にほぐれていきます。自分の気持ちを上手に表現できないじれったさをゆったりと受け止めてくれます。糞にまみれた原毛を洗ってほぐす作業や糸車に挑戦する姿は、昔地球号という工房で染織を教わった日々を思い出しました。機織り機も子どもたちと何度も挑戦して織ることに集中する楽しさを味わいました。そんな実体験を思い出す作業の工程をベースに両親との関係の修復、主人公の目標を見つけていく過程がていねいに綴られていきます。お薦めです。
◇「ランチ酒」はタイトルを見てすぐ購入しました。「見守り屋」という変わった仕事を生業とするバツイチの女性祥子。それは一晩話を聞くことだったり、かたづけの手伝いだったり様々。ご褒美は翌日のランチでいただく食事とアルコール。その話が16本のショートストーリーになっており、どの料理も描写がとてもうまく、飲んべいにはたまらない表現が続きます。別れた娘との切ないやりとりも混ぜながら、なぜか元気の出る作品です。 
◇その他読んだ本
「月の満ち欠け」佐藤正午作 岩波文庫    映画化に期待します。
「そこから青い闇がささやき」山崎佳代子作    ちくま文庫 作者のユーゴスラビアでの体験とウクライナがかぶります。  
 ◆◆2023年1月の予定◆◆ ・ひろば 8日(日)、22日(日) ・工房 14日(土)
・組み木フェスティバルin春日井 28日(土)、29日(日) 文化フォーラム

◎二女三輪亜希子の創作ダンス公演「三姉妹」が24,25と芸文の小ホールで開かれます。興味のある方はひろばまでご連絡を。
?ではよいお年を!!  クリスマス、お正月をお楽しみください。