コマッタさんへの特別支援  その3

5.計算練習へ
 計算プリントを見せるだけで破りそうになるAくんがのるのは、ゲーム。サイコロを振り
ながら、繰り上がり、繰り下がりの答えをあてていき、チップを集めていきます。負けず嫌
いの彼は必死に考え、ときどきタイルをおいて確かめながら勝負に挑みます。飽きずに何度
も繰り返しているうちに、いつのまにか頭の中でできるようになっていました。
 九九の練習もこの形でマスター。ゲームの力、
恐るべしです。ゲームの出典は『さんすう
はかせ』(草土文化社)この本も使えます。

 

 

 

 

 


 こうして曲がりなりにも四年生までの算数のおさらい兼挑戦をしてきましたが、成果があった
かどうかはわかりません。ここに紹介した教材・教具が果たして適当だったかどうかも分かりま
せん。でも、長年、こうした子どもたちの相手をしてきて思うのは、これは出会いのひとつである
こと。ならば、そのとき自分の持つ最適のものを提供するしかありません。ない袖は振れないので、
無理して手元にないものをそろえることはありません。後は、子どもとのやりとりの中で応用して
いけばいいのです。ゲームのルールも子どもに合わせてどんどん変えればいい。道具にしばられて
はいけません。

 この指導中にもゲームに負けて泣きわめいたり、「わからん、帰りたい」と机を蹴り飛ばしたり、
彼の心の揺れは何度もありました。「死にたい、自信を無くした」とつぶやく彼に、その都度落
ち着くまでひたすら待ち、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」の言葉かけの繰り返しを続けます。
学校生活の数年で、これほどまで自信消失している子どもの気持ちを取戻すのは容易ではないことを
痛感しました。

6.かけざん、わりざんのおもしろ教具
 
おまけに、先ほどの本(算数おもしろ教具)にあった
おもしろ教具を紹介します。
やはり1センチタイルを使い、かけ算とわり算の仕組みが、
よく分かります。水道方式では、かけ算もわり算も計算の
意味を大事にして、
 一あたり量、いくつ分、ぜんぶの量の三者関係を式に
反映させます。
 左の教具が「かけざんマシーン」右が「わりざんマシーン」
です。はじめに紹介した木の1センチタイルがそのまま使えます。